さくらサイエンス・ハイスクールプログラム 第13号
日中の高校生を前に鈴木章博士が特別講演
独立行政法人科学技術振興機構(JST)
7月28日午後、2010年ノーベル化学賞を受賞した鈴木章博士(北海道大学名誉教授)が「人類の進歩に役立つ科学の例~有機ホウ素化合物を利用する有機合成~」と題して特別講演を行いました。
講演には中国からの高校生のほか、スーパーサイエンス・ハイスクール(SSH)の千葉県立柏高校、同県立船橋高校の生徒30人も参加。日本と中国の高校生100人を前に、鈴木博士は、まずは自身が化学の分野に入るきっかけとなった2冊の本の紹介から入りました。
続いてノーベル賞受賞の研究テーマである画期的な「鈴木カップリング」の技術について、高校生に分かりやすいよう基礎から解説。毒性もなく取扱いも容易なので、医薬品をはじめ、テレビ・携帯・パソコンのディスプレイなど、有機合成や材料科学などの広い分野で使われていると説明しました。
さらにノーベル賞授賞式の様子やノーベル賞のメダルの由来もスライドを見せながら、丁寧に説明してくれて、高校生たちはまるで実際に授賞式に立ち会っているような雰囲気に浸ることができました。
「何を質問してもいいですよ」とやさしい鈴木博士の言葉に、5,6人の高校生が一斉に手をあげました。鈴木カップリングについてもっと知りたい生徒にはかなり専門的に、また「いつも自信を持ち続けるにはどうしたらいいのですか?」という生徒には、「好きなことを見つけなさい。好きなことをやっていれば、失敗してもまた挑戦しようという勇気が湧いてきます」とアドバイス。
最後に「アジアの科学者のレベルは本当に高いので、近い将来、日本だけでなく、中国や他のアジアの国でもノーベル賞受賞者が出てくると思います」と締めくくりました。また講演終了後、鈴木先生からは、「皆さん目を輝かせ意欲的に質問してくれて、非常に楽しく講演させて頂きました」との感想を頂きました。