2014年度 活動レポート 第18号:東京理科大学理工学部 吉見陽児嘱託助教

特別寄稿 第18号

さくらサイエンスプログラムから発展した双方向交流事業
東京理科大学と中国東北師範大学
吉見 陽児

執筆者プロフィール

[氏名]:
吉見 陽児
[所属・役職]:
東京理科大学理工学部・応用生物科学科嘱託助教
[略歴]:
東京理科大学理工学部応用生物科学科卒業、東京理科大学大学院理工学研究科応用生物科学専攻博士課程修了。博士 (理学)
国立成育医療センター研究所流動研究員、コーニングインターナショナル株式会社を経て現在、東京理科大学理工学部応用生物科学科助教。
 

さくらサイエンスプログラム実施内容について

受入機関 東京理科大学
送出し国・機関 中国・東北師範大学
招へい学生数 7名
招へい教員などの数 2名
実施した期間 平成26年12月14日(日)から平成26年12月20日(月)
 

双方向交流事業の実施内容について

受入国・機関 中国・東北師範大学
送出し機関 東京理科大学
学生数 9名
教員数 1名
実施した期間 平成27年1月6日(火)から平成27年1月9日(金)
 

1.今回の交流のきっかけと目的

東京理科大学と東北師範大学の教員らは古くから共同研究を行っており、2013年度からは日中間の共同研究の国際プロジェクトも行われてきた。そのようななか、JSTさくらサイエンスプログラムのご案内があり、教員だけでなく学生の双方向交流の支援を受けられることとなった。

2014年12月の中国側からの訪問にこたえる形で、2015年1月6日から9日まで学生9名を含む参加者総勢10名で吉林省長春の東北師範大学を訪問した。
本プロジェクトは日本と中国の若者の草の根的な文化交流を主な目的とし、大学教育または科学に関わる市民レベルでの日中の次世代の友好関係を築くという重要な目的を担っている。

さくらサイエンスプログラムをきっかけに、このような双方向の交流に発展したことで学術交流がますます深まるとの実感を持った。

2.中国でどのような交流だったのか

東北師範大学キャンパス内での集合写真

中国からの訪問を受け、翌月となる2015年1月はじめに吉林省省都である長春市の東北師範大学を訪問することとなった。
東北師範大学は吉林省の教員養成を目的とした大学である。長春市は過去に満州国の首都が置かれていた大きな街であり、ほかに吉林大学といった中国有数の大学を擁する中国東北部の歴史文化の要衝である。

緯度は北海道旭川市に近く、訪問時は日中でもマイナス10度を下回る気温となるが雪は少なく風がなければなんとか凌げる寒さであった。
滞在中は、かつてラストエンペラーの宮殿であった偽満皇宮博物院をはじめ、長春の歴史文化科学史跡および大学を訪問したほか、マーケットなど生活に密接する商業関連施設を見る機会も得られた。

多くの参加者が初訪中であったが、中国の歴史文化から日常生活までを垣間見るなかで、想像以上に中国が経済的・科学的に発展していることを知り、大いに刺激を受けることとなった。

東北師範大学は教員養成を目的としていることもあり、女子学生が多く在籍している。コミュニケーションは双方たどたどしい英語でとるものの、言葉の壁を越えて意思疎通を図ろうという中国の女学生の積極的な姿勢が非常に印象的であった。
日頃はおとなしく英語も話さないとのことだったが、私たちとの英語のコミュニケーションには、中国側の教員が一番驚いていたそうである。

3.今後の学術交流のスケジュールや予定など

日中学生のセミナーやミーティングが活発に行われた

中国側のホストをして頂いた張教授は、本学光触媒国際研究センターで進行しているJST日中の研究プロジェクトの一員をされている。この交流の継続性をもたせるためにも、引き続き進行中の研究プロジェクトなどを通じた交流を深めたい。

4.このように発展した意義と効果について

科学を介した交流を通じ、より広く若い世代へまで深化させてゆく試みは、日中の科学の将来にとって最も重要な活動の一つである。今回のプロジェクトに関わった学生たちは、人の交流は直接面と向かうことで始まり、それにより新たな化学反応が起こること、真実を知るうえで実際に足を運んで自分の目で見てみることの大切さを再認識したのではないだろうか。

日中相互の学生および教員同士の間で相互理解が進み、お互いを尊重する意識が芽生えたことを以って今回のプロジェクトの目的は達成されたと実感している。
この場をお借りして中国側担当者、JSTさくらサイエンスプログラムおよび本学の双方向交流事業関係者各位に御礼申し上げます。