特別寄稿 第14号
中国・インドネシアの大学からのインターンシップの受入れ
福田 華名子
執筆者プロフィール
- [氏名]:
- 福田 華名子
- [所属・役職]:
- 住友化学株式会社 人事部 主任部員
- [略歴]:
-
- 2008年1月
- 住友化学株式会社 筑波研究所総務グループ
- 2009年5月
- 住友化学株式会社 人事部(東京)
- 海外人事、グローバル採用業務に従事
さくらサイエンスプログラム実施内容について
受入機関 | 住友化学株式会社 |
送出し国・機関 | 中国・インドネシアの各大学 |
招へい学生数 | 16名 |
招へい教員などの数 | 無 |
実施した期間 | 2014年7月21日~2014年8月30日 |
1.さくらサイエンスプログラム実施の目的
住友化学では、約1.5か月間の当社における就業体験を通じて、日本および当社に親しみを感じる優秀な人材に、日本および日本企業の活動についての理解を深めていただき、世界のいろいろな企業で活躍していただきたいという思いなどから、2007年度からインターンシップ生の受入れを実施しています。
2.実施内容
7月21日に、さくらサイエンスプログラムで採択された学生を含め、合計17名の学生が中国およびインドネシアから来日し、当社でインターンシップを行いました。
来日時に、まずオリエンテーションを実施し、当社に関することだけでなく、日本での生活、日本企業での働き方やビジネスマナーなどについても説明を行いました。オリエンテーション後には、当社役員との懇談会を実施し、当社の考え方やインターンシップ生に対する期待なども伝えました。翌日には、当社の千葉工場および石油化学品研究所の見学を行いました。千葉工場は石油化学部門の中核となるマザー工場です。エチレンプラントのスケールの大きさに驚き、感動しているインターンシップ生が多かったのが印象的でした。また、石油化学品研究所では、日常、手にしているポリエチレン袋や車のバンパーなどが石油化学製品であるという説明を受け、化学製品の広がりや可能性を実感していました。
その後、実習先の各事業所(本社、工場、研究所)にて、インターンシップ生の専門分野を踏まえた実習を行いました。今回は、青森、茨城、東京、千葉、大阪、愛媛、大分にて研修を行いました。インターンシップ生は、実習テーマを学ぶだけでなく、日本人との交流や日本文化の理解にも関心を持ち、休日も含め、積極的に活動していました。
各事業所での実習終了後、インターンシップ生は再び、東京本社に戻り、実習職場の社員も参加するなか、各自、研修内容を発表し、インターンシップ生同士で、実習で学んだことや今後の抱負などを共有しました。最後に、修了式を開催し、当社役員より、インターンシップ生に修了証書を授与しました。そして、実習職場の社員、外国籍の先輩社員も交えての送別会を行いました。その後、8月30日にインターンシップ生は帰国しました。
3.実施効果
インターンシップ生は、1.5カ月の間に経験したことを通じて、日本および日本企業の活動について理解を深めただけでなく、自国とは異なる日本の文化や考え方を発見し、また、時間を厳守することや「報告・連絡・相談」など、ビジネスマナーについても習得することができました。
インターンシップ開始直後には、決まった時間に全員が集まることさえ難しかったのですが、インターンシップを通じて、時間厳守の大切さを学び、また、「報告・連絡・相談」が仕事をするうえで重要な役割を果たしていることが分かり、それを自身の行動に生かすようになりました。
インターンシップを通じて得られた学びや経験が、今後、彼らが社会に出て、日本を含めグローバルに活躍していくうえで役に立ってくれるものと期待しております。
インターンシップ生の皆さんからは、「大学の座学と異なり、実際に実験ができて夢のようだった」、「日本の印象が変わった、日本が好きになった」、「日本企業の文化、考え方、ビジネスマナー等は日本の技術レベルの発展・維持に寄与していると思った」、「日本/住友化学で働きたい、日本に留学したい」といった感想が寄せられました。
4.今後の国際交流
当社は、2007年から実施しているこのインターンシップを、今後も継続し、2015年1月にも、中国の北京/上海地区の各大学から合計20名のインターンシップ生を受け入れる予定です。また、2015年度はアジアに加えてヨーロッパ、中東およびアフリカ地域の各大学からのインターンシップ生を受け入れることを計画しています。
これからも、インターンシップ生には、インターンシップを通じて日本および日本企業のことを深く理解してもらうとともに、当社での実習を通じて視野を広げ、自身の職業やキャリアについて考える機会としていただくことを期待しています。
さらに、当社のインターンシップの取り組みが、日本と各国との協力関係の一層の発展・強化に資するものとなるよう願っています。
5.さくらサイエンスプログラムに対する希望と期待
将来性のある世界各国の優秀な学生に来日してもらい、日本および日本企業のことを深く理解してもらうことは、今後、日本企業が世界各国に事業展開していくために重要であり、当社も世界各国の大学との交流を拡大しています。
一方、一企業でできることは限られており、「さくらサイエンスプログラム」は、それをサポートいただくものとして大変有意義なプログラムであり、長期にわたって継続されることを希望しています。また、今後、対象国をアジアだけでなく他地域にも拡大していただくこともご検討いただければ幸いです。
最後に、本プログラムを実施するに当たり、JST日本・アジア青少年サイエンス交流事業推進室の皆さまに多大なるご支援を賜りましたことに対し、厚く御礼申し上げます。