2014年度 活動レポート 第61号:北九州市立大学 環境技術研究所

2014年度活動レポート(一般公募コース)第61号

ハノイ科学大学から12名が北九州の環境保全を学びに来ました

北九州市立大学 環境技術研究所 国際連携推進センター 安井 英斉

8月30日にハノイ科学大学からNguyen Manh Khai副教授が11名の学生を率いて来日しました。

北九州市立大学は、2014年度にベトナム政府より高度人材育成事業(Project 911)の第1号として認定され、2024年度までの10年にわたってハノイ科学大学から環境科学分野の留学生を受け入れることになっています。
本学のさくらサイエンスプログラムは、Project 911候補者や本学への私費留学希望者を短期招聘することで、これから開始していく大学院の共同教育や受け入れ研究室などにおける共同研究のマッチングと人材育成の方向を確実にすることを意図して実施するものです。

北九州市立大学ひびきのキャンパスに到着。

ベトナムの大学は教育研究設備が不充分で座学が中心となっていることから、交流のデザインにおいては、特に本学で充実している環境分析の実験実習をプログラムに組み入れるとともに、公害を克服してアジアの環境首都を目指す北九州市の関連施設を視察に加えることで、研究と実務の融合を狙いました。
また、招聘の学生はいずれも初来日となるので、初日と2日目は自然と歴史が豊かな九州北部の代表である太宰府天満宮・別府温泉・平尾台・門司港レトロ地区・下関唐津市場・小倉城庭園なども見学コースに含めました。

小倉城を背景に記念撮影に収まるハノイ科学大学の皆さん。

第3日から6日目までは、バイオ系・環境資源系・化学プロセス系の3分野を中心に各種実験と講義の受講が本格的になりました。来日のハノ科学大学学生は、いずれもさくらサイエンスプログラム向けに選抜されて将来の共同研究を念頭に置いている皆さんなので、いずれの講義にも真剣な顔つきで受講し、積極的に質問・コメントが飛び交いました。
しかしながらベトナムではあまり機会が無い実験授業では、ガラス器具や精密分析機器の使い方にかなり迷っていました。これを助けるために、北九州市立大学の技術職員とベトナム人留学生が懇切丁寧にサポートします。最後は、実験のデータをきれいに得ることができて笑顔が満ちあふれました。

真剣な顔つきで講義に参加。
でも、実験はたいへん (最後は大成功で満面の笑顔)。

また、北九州市における基幹産業の代表である新日鐵住金株式会社八幡製鐵所の工場や日本最大規模のリサイクル産業基地であるエコタウンも見学し、産業活動と環境保全を調和させながら発展していこうとするわが国の地方都市の姿に感動を覚えたようです。

また、北九州には、親元を離れて心細い思いをしている留学生にとって、「日本のお父さん・お母さん」と親しまれている国際交流ボランティアの皆さんがいらっしゃいます。北九州市立大学に留学している多くの学生がお世話になっています。今回のハノイ科学大学一行もボランティアのご家庭に招待され、ホームステイを楽しみました。日本のお母さんの手料理がたいへんおいしかったようで、味噌汁を3杯もおかわりした女子学生がいました。

夕食をご馳走になった後、いろりを囲んで記念撮影(正座もできるようになりました)。

最後の7日目は、ハノ科学大学と北九州市立大学の学部生・院生による研究発表会が開催されました。いずれの学生も相手の大学の学生に感銘を与えられるよう一生懸命に事前準備していた甲斐あって、通常の学会発表以上の出来映えになりました(ふだんもこれくらい頑張ってくれれば…とは某教授の感想です)。研究発表会後は、さくらサイエンスプログラム修了証の授与式に移り、記念撮影を行いました。

研究発表会と授与式の記念写真。

7泊8日の日程はあっという間に過ぎ、今後の留学や共同研究トピックを思い描きながら、みなさんは無事にベトナムに帰国されました。