2014年度 活動レポート 第54号:北海道大学大学院理学研究院

2014年度活動レポート(一般公募コース)第54号

エクセレントスチューデンツがやってきたFrom Viet Nam

北海道大学大学院理学研究院

北海道大学では、8月20-25日にベトナム科学大学附属高等学校から高校2年生2名,3年生8名、引率の先生1名を含む計11名を招へいしました.招へい元となる高校は本学の協定校であるベトナム科学大学の附属高校で、卒業生に2013年度フィールズ賞受賞者を含み、数学オリンピックはじめ数々の国際オリンピックの受賞者を輩出する等ベトナムでも有数の優秀な高校です.今回招へいした生徒さん10名全員、英語力、数学の能力ともに大変優れていました.

北海道大学で理工系教育・研究環境を初体験

最初のプログラムは、2日にわたり北海道大学で実施された理学研究院と工学研究院の教授による模擬授業です.理学研究院鈴木教授の講義テーマは、「サイエンスとはなにか」、「物理学」の2科目でした.

工学研究院の授業は社会工学系4名の教員による授業です.ベトナムでは、基礎科学の授業が中心だが応用分野に対する需要も大きいとのことでした.今回の授業は、普段の高校生活では触れることがない分野ということで、興味も大きかったようです.また模擬授業の一環として実施された小樽港湾事務所におけるサイト・ビジットでは、フェリーに乗って防波堤の見学を行いました.

小樽港サイト・ビジット。

防波堤を見学。

本学キャンパスで実施された最後のプログラムは、最先端機器が集合したオープンファリシリティの見学ツアーです.高校生たちはこれまで目にしたことのない最先端実験設備に興味津々でした.

模擬授業では、アクティブ・ラーニングの主要ツールであるクリッカーを用いた双方向型授業、実験やサイト・ビジットを体験し、高校生たちには座学にとどまらない講義が新鮮に映ったようです.模擬授業を担当した本学教授からは、英語力も申し分なく熱心に講義を聴講する態度に感銘を受けたという感想がよせられました.

模擬授業「物理」。

模擬授業中の実験に興味深津々。

SSH立命館慶祥高等学校におけるロケットの制作・打ち上げ実験

3日目のプログラムは本学教員が学外顧問として参加するスーパーサイエンス・ハイスクール(SSH)指定校である立命館慶祥高等学校で実施されました.校内の施設見学ではベトナム人高校生たちは行き届いた施設に感心することしきりでした.道徳の授業見学や体育施設の見学もさせて頂きました.

次に各自1台ロケットの制作、自作したロケットの打ち上げ実験を行いました.ロケット制作マニュアルの記載は日本語のみ.ベトナム人高校生には大きなハンデがあるかと思いきや、図解を頼りにすいすいと先行して制作するベトナム高校生も.でも肝心なところは、日本人高校生が指導します.

ロケット製作。

いよいよ、自作ロケットの発射です.日本人高校生のお手本の後、ベトナム人高校生が挑戦.次々と順調に打ちあがり大興奮です.中には残念ながらうまく発射しないロケットも.実験の醍醐味を味わいました.こうした実験をベトナムの授業で行うことはないそうで大興奮でした.

自作ロケット発射実験。

その後は、10月にベトナム訪問が予定されている日本人高校生たちとの交流会.交流会では、手作りのフォーと日本伝統のおにぎりが振舞われました.
立命館慶祥高等学校のみなさま、ご協力誠にありがとうございました.

本学留学生との交流。

札幌青少年科学館を訪問

次に札幌青少年科学館を訪問しました.低温展示室に意気揚々入場したと思ったら、寒さに耐え切れず、特別に3分で出してもらうというハプニングも!人工降雪装置による雪も札幌市民にとっては珍しくありませんが、ベトナム人学生にとっては珍しかったようです.「こうした(体験型の)科学館は初めてでとても楽しい!」「科学の応用の場を見ることができた」といった感想が聞かれました.

札幌市内観光

メインプログラムをこなした後の4日目は、リラックスして、テレビ塔、北海道神宮、大倉山ジャンプスキー場等、札幌市内の観光を楽しみました.

テレビ塔の前で。

プログラム期間を通じて、本学の留学生や日本人学生との交流、混雑する学食での昼食、キャンパス周辺のスーパー、コンビニでの買い物など、疑似留学生生活を体験しました.終了後の参加者アンケートでは、「日本の技術を再発見した」、という意見と同時に、高校生らしく「また来日したい」「日本で勉強したい」という素直な意見が寄せられました.

今回の2校間交流事業は、両国の大学教育をめぐる状況について具体的な情報交換が可能になるなど招へい者、受入者の双方にとって顔が見える交流という点で、大変有意義なプログラムとなりました.今後ともこうした2校間の交流を継続することで、科学技術分野における貢献を行うとともに、アジアにおける本学理工系教育の意義について考える機会となることが期待されます.