2014年度 活動レポート 第11号:北海道大学大学院工学院

2014年度活動レポート(一般公募コース)第11号

「グローカルなエコタウンのデザイン」国際ワークショップ・合宿レポート

北海道大学大学院工学院修士1年 小宮祐輔

北海道大学と重慶大学の建築系大学院生を対象とした国際デザインワークショップが、7月25日からスタートしました。ワークショップのテーマは「Green-Eco-Sustainable Town Design toward Glocalizaton(グローカルなエコタウンのデザイン)」です。

参加学生は北海道大学の11名と重慶大学の10名で、国別にみると中国12名、日本5名、イラン1名、ソロモン諸島1名、インドネシア1名、韓国1名という国際色豊かな構成です。最初の3日間は札幌に滞在し、その後の4日間は北海道余市町にてフィールドワーク、残り5日間は再び札幌でデザインワークというスケジュールとなっています。

オリエンテーションのあとで、記念写真を撮影しました。

ここでは、7月28日から始まった余市町での合宿についてレポートします。
余市町での4日間は、対象フィールドであるモンガク谷地区をとにかく歩いて回り、農家を中心に地元住民の方々へのヒアリングを行いました。また、農園での寝泊まりや農作業の体験を通じて、この地域の生活のリアリティの獲得を目指しました。

フィールドワークのシェアリングの様子です。

特に重慶大学の学生にとっては非常に新鮮な環境だったようで、初日に到着したバスからおりた途端、皆が一斉にカメラを取り出して写真を撮っている様子が印象的でした。
農家への聞きこみの際も、日本人学生では疑問に思わないことが質問に出てくるなど、日本人学生にとっても新たな気づきを得る機会が多くありました。

また、日本人学生が余市町を北海道の中の小さな田舎まちと認識しているのに対して、重慶大学の学生はインフラなどの整備が進んでいる現代的なまちと捉えるなど、生活環境への評価の視点の違いも見えてきました。

この余市合宿は、日中は農作業やヒアリングなどを通じての様々な体験学習を行い、夜は課題テーマに対する提案へ向けての掘り下げたディスカッションを行いました。白熱した議論では、学生同士の価値観や考え方の違いから何度も意見の衝突もありました。

言葉のハードルもあり、お互いがなぜそういった考え方をするのか理解できずに、途方にくれることもありました。しかし、話すときにスケッチやダイヤグラムを駆使するといった建築系学生ならではの工夫によって、次第に生産的なコミュニケーションが取れるようになっていきました。

最初の札幌での交流では得られなかった理解や意思疎通が、合宿という共同生活を通じて獲得できるようになりました。8月5日はいよいよ最終提案のプレゼンテーションです。地元の余市町へ具体的な還元できるような魅力的なエコタウンの提案をまとめ上げていきたいと考えています。