タイの大学生が自動車の自動運転における制御・計測技術を学ぶ

取材日 2025年12月18日(Aコース)

慶應義塾大学環境情報学部では、2025年12月15日~12月21日、タイ タマサート大学シリントーン国際工学部からセクサン・ライタラクン助教と学部生13名を招いて(うち6名は自費による招へい)、自動車の自動運転技術について、その仕組みやセンサ技術を学ぶ、A.科学技術体験コースのプログラムを実施しています。ライタラクン助教によると、タマサート大学には日本留学を経験した教員が多く在籍していることもあり、学生たちの日本への関心が非常に高いとのこと。本プログラムには72人もの応募があり、その中から選抜された成績優秀な学生たちが参加しているそうです。

実施主担当者の大前学教授は、「タマサート大学とは以前から継続的な交流を実施しているが、ライタラクン助教から“さくらサイエンスプログラムへの参加”が、タイの学生たちにとって望ましいという話しを聞き、本プログラムへの申請に至った」と語ります。さくらサイエンスプログラム修了時に科学技術振興機構(JST)から参加学生たち発行される「修了証」が、彼らの今後の進学・就職の際のアピールに役立つようです。

12/18(木)の取材当日、新川崎タウンキャンパスでは、大前教授や研究室の学生たちの支援のもと、各自のパソコン上で ①自動運転車の走行データ・センサーデータの可視化、②高精度地図の作成、③操舵・速度制御、④障害物の認識・衝突回避を実現するためのプログラムを作成することで、自動運転に必要な技術を段階的に体験していました。目標とするのは、自動車交通の安全化、効率化、高齢化社会におけるモビリティの維持実現です。

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共通の画面を確認し、話し合いながら、高精度地図の作成や、自動運転制御作成などの課題に取り組むタマサート大学の学生と、支援する大前研究室の学生たち。

制御を作成する課題の醍醐味は実車による走行評価です。学生たちは、作成したプログラムによる車両制御の結果をシミュレーションで評価し、プログラムを修正する作業を繰り返すことで調整を行います。「これでOK」と思えるプログラムが完成した後、キャンパス内の道路を実験車で実走しました。短い直線のコースでしたが、自分たちが作成したプログラムで自動運転をするということで、うまく運転制御できるのかどうか、少し緊張した面持ちで車に乗り込む学生たち。見事、成功するとホッとしたような、満面の笑みが見られました。

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走行中の実験車の車内。最初は少し不安そうだった学生も試走がうまくいって笑顔に。
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キャンパス内を試走する実験車。車体の上部には、LiDAR(ライダー)というレーザーセンサ機器が複数取り付けられています。

■参加者の声

  • ミャンマーの大学で電気工学を学んだ後、隣国であるタマサート大学に留学しています。日本は技術的に非常に進んだ国で感銘を受けています。人々もとても親切です。将来はさらに海外で学びを深めたいと考えています。(タマサート大学 男子学生)
  • 今回の課題、プログラミングなどは初めてで少し難しかったのですが、良い経験になりました。日本は町並みが美しく、整っています。お菓子の種類の豊富さには驚きました。卒業後はソフトウェアの開発会社に就職し、企業からの奨学制度で留学、博士号を取得するのが夢です。(タマサート大学 女子学生)
  • 英語が双方とも第一言語ではなく、言語の壁を感じることはありますが、互いに理解し合おうとすることで良い交流ができています。4月からは国内自動車メーカーへの就職が決まっているのですが、本プログラムによって良い経験ができたと思います。(慶應大学学生)
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実験車両(中央のバン)の前で集合写真。
一番右の前方が大前教授。タマサート大学ライタラクン助教は左から2番目。

最後に、大前教授は「私自身が、サバティカルで1年間タマサート大学に留学した経験があり、交流はその恩返しの意味もあります。自分のプログラムで実機を動かす楽しさ、難しさを感じてもらいたい。参加学生にとっては、プログラムコーディングなど少し難易度が高いかもしれないが、壁にぶつかる場面があっても成長する糧としてほしい」と話してくれました。

本プログラムを契機として、日・タイの学生たちの交流がさらに深化することを期待します。