2025年11月11日~17日の7日間、群馬大学大学院理工学府 機械知能システム理工学科では、ベトナムの郵政通信技術大学の学生3名と引率教員のマイ・ティ・ ニャー博士、タイの泰日工業大学およびモンクット王工科大学北バンコク校の学生各2名の計8名を招へいし、機械・人工知能の制御に関する講義や実験などの研修をメインとした、科学技術体験プログラムを実施しています。
来日したのは、いずれも日本への興味と学習意欲の高い学部2~4年生の学生たち。そして、マイ博士はかつて実施主担当者 山田功教授のもとで学び、博士号を取得した、山田研究室の卒業生です。来日に先立ち、オンラインによる事前学習が行われ、招へい学生たちは、ロボット工学やAI、運動方程式など、テーマにそって各自が自主的に準備を進めてきたそうです。
取材当日、招へい学生たちは、山田研究室の修士学生の指導・サポートを受けながら、ロボット制御に関する課題(2輪ロボットを安定して自立&走行させるため、パソコン上へのシミュレーター導入作業や、ロボットのサイズや重量等を計測してのパラメーター入力作業等)に取り組んでいました。2輪が横に並んだロボットを安定して走行&自立させるには、人間が一輪車に乗る時のように前後のバランスを細かくとる必要があります。人口知能の深層学習を活用しながら、シミュレーター上や実地で試走を繰り返し、最適解を探る作業に集中していました。言語の壁を越えての協働作業を楽しみながら、前向きに取り組む様子がうかがえました。
来日3日目ということで、本格的な交流や文化体験はまだこれからという段階でしたが、招へい学生からは「日本の学生がとても親切で感謝している」「群馬はとても美しい」「思ったより寒かった」などの感想が聞かれました。
システム制御理論とその応用、機械・ロボットの制御、機械の知的制御などを研究テーマとする山田教授の研究室には、中国、べトナム、タイを中心に、パキスタン、イランなどからの留学生も多く所属しています。今回のプログラム中では留学生の先輩との交流タイムも用意されているとのことです。
最後に、今後の展望について招へい学生と山田教授に伺ってみました。
■招へい学生の声
- 将来はロボット工学について学び、日本と共同研究をしたい(タイ 大学生)
- 卒業後は修士課程に進みたいです。海外留学も考えているのですが、叶うなら日本で学びたいです。日本の文化や研究には大きなポテンシャルを感じています(ベトナム 大学生)
■実施主担当者 山田功教授の声
過去に実施したさくらサイエンスプログラムによって、実際に、留学生の獲得や研究交流に繋がっている実績があります。また、研究室で学んだ留学生が、今回のようにプログラムの引率教員として戻ってくる例もあります。「私たちの大学のみでは実現できない特別な国際交流」ができていると思います。また、機械工学では、「いかにわかりやすい言葉で伝えるか」が重要なのですが、本プログラムで招へい学生と一緒に協働作業をする日本の学生にも非常に良い体験、良い刺激になっていると思います。今後も、さくらサイエンスプログラムを活用して国際交流を繋げていきたいです。
さくらサイエンスプログラムをきっかけとして、未来に向けた頭脳循環の輪がさらに大きく広がっていくことを期待します。