静岡大学ではインドのSRM科学技術大学(SRM Institute of Science and Technology)から大学院生・ポスドクら8名を招へいし、9月15日から10月5日まで、B.共同研究活動コースのプログラムを実施しました。SRMはインドでトップクラスの私立大学で、静岡大とは大学間協定をはじめ、両大学で学位を取得できる博士課程ダブルデグリープログラム(DDP)協定を結んでいます。また、静岡大はさくらサイエンスプログラム(SSP)をこれまで6回継続して実施しており、その結果、SSPの卒業生10名が同大学創造科学技術大学院(Graduate School of Science and Technology, Shizuoka University)の博士課程に入学しています。
今回のプログラムは「新材料創成を目指した萌芽研究の探索」をテーマに、これまで捨てられていたエネルギーの回収を目指す材料開発や、新しい材料合成方法の開発を見据えた研究が目的です。取材に訪れた9月25日(木)、SRM生らは浜松キャンパス内の共同利用機器センターでFE-EPMA(Field Emission Electron Probe Micro Analyzer)を使用した機器分析に取り組んでいました。技術者から説明を聞いた後、実際にEPMA分析を体験。同機器は試料の形状、構成元素の種類、含有量、分布状態などを多角的に調べられる最新鋭の装置ですが、SRMでは未設置ということもあり、全員が分析結果を見ながら熱心に意見を交わしていました。
また、SSP卒業生で現在、同大学の博士課程1年で学ぶインドの学生2名も参加、SRM生からの質問に丁寧に答えたり、説明したりしている姿が印象的でした。SRM生は同センターに設置されている様々な機器を利用して分析・解析を行い、その研究成果を発表することになっています。
■静岡大学博士課程で学ぶSSP卒業生の声
今回の取材ではSSP卒業生で現在、静岡大学の博士課程で学ぶお二人に、研究テーマや、SSPでの経験が何故その後の日本での研究に結びついたのかなどをお聞きしました。
Anjali Krishnan さん(ナノビジョン工学専攻 博士課程1年)
「現在、フレキシブル熱電材料とデバイス(flexible thermoelectric materials and devices)の研究をしています。2023年にSSPで初めて日本を訪れたとき、高度でしかもシステマティック、そして正確性を追求する日本の研究カルチャーに感銘を受けました。そのため博士課程はぜひ日本で学びたいと思ったのです。静岡大はまさにそういった研究環境・文化を提供してくれる場です。『サイエンスを実社会での活用に結びつける』、これが私の研究ゴールであり将来像です」
Thangappandian Ragaviさん(光・ナノ物質機能専攻 博士課程1年)
「私の研究テーマはPLD(pulsed laser deposition)法を使用した薄膜成膜(thin film deposition)です。2024年にSSPで来日したとき、先端技術のラボ見学や専門家の話を聞き、日本のマテリアルサイエンスやセンサー技術がどのようにして革新的に進歩を遂げたのかを知りたいと思いました。静岡大では、最先端の研究を様々な国の人たちとともに行っています。博士課程が終わったら、ポスドクとしてさらに日本で研究を続け、知識を深めたいと思ってます」
右:Anjali Krishnanさん(2024年度実施のSSPに参加)