2024年9月16日~22日、富山高等専門学校では、インドのNESラトナム芸術科学商業大学化学科の大学生7名と教員5名、計12名を迎え(内教員4名は自己資金による招へい)、インドの学生が富山高専で最先端の化学実験を体験し、日本独自の高専教育に触れるプログラムを実施しました。
今回の招へいは、ラトナム大の教員がインドの教育庁から「さくらサイエンスプログラム」の紹介を受け、ぜひ活用したいと日本での受け入れ先を探したところ、研究者同士のネットワークを通じて富山高専の教授と繋がり、実現したとのこと。富山高専にとっても初めて実施する「さくらサイエンスプログラム」になります。
取材日当日、日印の学生たちは、3グループに分かれて実験に集中していました。実験のテーマは以下のとおりです。
- 両国の薬の成分分析と比較(鎮痛剤に含まれるアスピリンを例に)
- 水素ガスを発生させ、燃料電池を作動させる実験
- 温度で光の透過性等が変化するポリマーの特性調査
ナトラム大の学生たちは、自国では経験したことのない実験器具の扱いや実験手法を、日本の学生のサポートを受けながら学び、実践していきます。実験で得られた結果を真剣な表情で記録し、分析する様子も印象的でした。
それぞれのグループによる成果発表では、「水素社会実現の可能性について」など、活発なディスカッションが行われていました。
実験後には、日本の学生が折紙を紹介して、全員で折り鶴や手裏剣づくりに取り組んだり、ラトナム大教員が現地の授業で、「折紙のようなもの」を使ってアンモニアの分子構造をモデル化して理解を深めている事を紹介したりする場面も見られました。
ナトラム大の学生たちに将来の展望を聞くと「修士・博士課程に進学したい。その際は日本も含め、海外留学もぜひ考えたい」と熱心に語ってくれました。
また、日本の学生たちからも、「海外の学生や研究者と初めて交流した」「インド学生の飲み込みの速さに驚いた」「コミュニケーションをとる上での英語の重要性を強く感じた」などの感想を聞くことができました。今回の体験が、日印の学生たちにとって、大いに刺激的で、実りの多いものだったことがうかがえます。