芝浦工業大学では12月1日~10日、インドとマレーシアから大学院生、研究者、教員の15名を招へいし、「材料工学における環境・エネルギー分野の知識およびその実践的な活用技術・能力を習得するワークショップ」を実施しました。参加校はインド工科大学マドラス校(IITM)、インド情報・設計・生産技術大学カンチ―プラム校(IIITDM)、マレーシアプトラ大学(UPM)、マレーシア大学トレンガヌ校(UMT)の4大学で、いずれも優れた科学教育・研究機関として知られています。
Advanced Global Project Based Learning(aPBL)と名付けられた今回のさくらサイエンスプログラム(SSP)は対面型としては昨年に次いで2回目で、持続可能な開発目標(SDGs)をベースに、材料工学という共通分野の院生、研究者らが集まり、研究室ワークショップやグループ討議を通して、さらに専門知識や技術能力を高めることを目的としています。
また、各校の引率教員からも「ソーラーエネルギー」「エナジーと環境マテリアル」「2Dマテリアルおよび発光ダイオード」など、環境・エネルギー関連の特別講義があり、それらを受けてのグループディスカッションで、参加者はさらに理解を深めました。
プログラムの終盤、12月8日午前中は、日本側の受け入れ主導者であり工学部先進国際課程のミリアラ・ムラリダ教授(Dr. Muralidhar Miryala, Graduate School of Science and Engineering, SIT)から、新エネルギー技術のひとつとして注目されている「高温超伝導と社会実装」についての特別講義がありました。
午後はグループに分かれ、日本人学生や留学生も加わって、SDGsの目標4にあたる「持続可能な開発のための教育と市民権」について、今、話題のChatGPTで代表される生成AIをテーマにディスカッションを行いました。生成AIが教育、科学技術、経済、社会に与える影響など、良い点、悪い点を話し合い、その成果をグループごとに発表して順位を競いました。審査員の各大学教授からは厳しい質問が投げかけられ、熱心に答える院生らの姿が印象的でした。
●今回のプログラムを通してインド、マレーシアの大学院生のコメント
「現在、IITで量子コンピュータを専攻しているが、今回、ICチップがどのようにして製造されるのかなど、理論だけでなく実際の現場であるクリーンルームの見学ができ興味深かった」
「自分の大学だけでなく、他校の教授陣からのレクチャーも受講でき、とても勉強になった。現在マスターコースで学んでいるが、Ph.Dに進みたいという意欲が強くなった」
●日本人学生のコメント
「優秀な海外の院生、研究者と一緒のグループワークはとてもたいへんだった。ディスカッションにやっと参加できたというレベルだったが、モチベーションはすごく上がった」
「海外の学生たちと行動を共にすることで、勉強だけでなく、いろいろな考え方を知り、視野が広がった」
●芝浦工大工学部先進国際課程ミリアラ・ムラリダ教授のコメント
「本学のプログラムは2015年からSSPに採択されており、おかげで多くの海外教育機関とサイエンス交流を行うことができた。SSP招へい者には、研修中のグループ討議をベースに帰国後、グループごとに国際ジャーナルに研究論文の発表を目標としてもらっている。それもあってか、本学の論文数は毎年増加している。また、イギリスの大学評価機関THEやQSが発表する世界大学ランキングにもランクインするようになった。特にTHEは世界の高等教育機関の7%しかランクインできないという厳しい評価だけに、本学の世界での評価が確実にあがってきたのを実感している。これもSSPのおかげと感謝している。」