宇宙産業の活性化や宇宙業界の新事業創出をサポートする株式会社DigitalBlast(デジタルブラスト)は、8月21日~25日にタイのマヒドン大学から大学生2名、教員1名、計3名を招き、「国際宇宙ステーション(ISS)での実施に向けた微小重力下でのライフサイエンス実験に関する研修プログラム」を実施しました。
DigitalBlast社は、人工的に重力を作り出し、多様な重力環境での植物生理の研究ができる小型ライフサイエンス実験装置「AMAZ(アマツ)」を開発。2024年にISS設置・運用を目指しています。一方マヒドン大学はタイを代表する大学で、世界的に医学系の評価が高く、ライフサイエンス系でもタイ国の重点プロジェクトに多く関わっています。
近年、NASAによるアルテミス計画をはじめとした有人宇宙探査が世界的に盛り上がりを見せており、なかでも宇宙環境での食の確保や植物栽培に対する課題意識が急速に高まっています。今回、プログラムに参加したマヒドン大学のTatpong Tulyananda博士は植物生理学が専門で、現在、微小・低重力環境下での植物育成の研究に取り組んでおり、宇宙での植物実験に強い関心を寄せています。
マヒドン大学の一行はまずJAXA筑波宇宙センターを訪問。ISS日本実験棟「きぼう」運用管制室では、さまざまな宇宙実験が行われる「きぼう」内部をリアルタイムで見学し、宇宙実験のイメージを膨らませました。
また、これまでにも「きぼう」で宇宙植物実験を行っている富山大学を訪問。同大学はDigitalBlast社とAMAZプロトタイプを用いての共同研究をすでに開始しており、将来の宇宙ライフサイエンス共同実験に向けて3者間で協議を行いました。
さらにDigitalBlastの本社では、学生らは同社のライフサイエンス実験機を見学したほか、同社から宇宙ビジネスのロードマップやISSでの実験に向けた全体像の紹介があり、将来の宇宙ライフサイエンス共同実験プランについての意見交換を行いました。
DigitalBlast社では「今回の交流プログラムを通じて、弊社の実験装置AMAZを活用することでどのような共同実験ができるのか、また将来的に実施したい宇宙実験プランについてもマヒドン大学と意見交換を深め、国際的な産学連携ネットワークを広げていきたい」と語っています。
また、招へい者を代表してTulyananda博士は、「タイ政府も宇宙開発プログラムを積極的に支援しており、農業が盛んなタイとしては特に宇宙農業調査・開発という点で国際協力に貢献できると思う。今回の研修を機に私たちもJAXAやDigitalBlast社との協力関係をより一層強くし、宇宙での植物育成などのライフサイエンス実験に取り組んでいきたい。このような機会を与えてくれたさくらサイエンスプログラムには深く感謝している」と締めくくりました。