2020年4月のレポート

パキスタンにおけるCOVID−19症例概要

パキスタンでは、2020年2月26日に最初の2症例が報告され、2020年3月20日に最初の死亡例が報告された。パンジャブ州では2,594件の感染確定症例が確認され大きな打撃を受けた。現在(4月13日午前9時)の病勢概要を以下に記す。

感染確定症例合計 5,374 https://covid.gov.pk/
治癒 1,095
重症 44
死亡 93
ロックダウン状況下の首都カラチの様子

感染拡大制御に向け政府が行った措置:

 パキスタン政府は、ウイルス拡散を抑制するための措置を講じている。

  • 国際線フライト運航の中断や国境の部分的封鎖をし全国的に検疫を行い、大量交通を制限し国内において部分的なロックダウンを行っている。ロックダウン状況下、教育機関、民間組織や公共機関は閉鎖、もしくは必要最小限のスタッフによる運営がなされている。
  • 連邦保健省は、公衆衛生関連事項の規制監督機関である。連邦保健省は、公共のリアルタイム感染状況モニタリングシステムを提供し、(国民のCOVID−19に対する)意識を高めている。23,557床のベッド数を持つ139の検疫施設があり、さらに、215の病院が2,942床の隔離施設を提供している。約35の三次医療病院がCOVID−19治療専用施設として指定されている。PCR検査実施のために指定された25の研究所がある。
  • 国民の意識は、電子媒体、印刷物、ソーシャルメディア利用により啓発されている。
  • 国家災害管理局(NDMA)は、リスク特定・分析・評価の責任機関として、医療従事者や病院に必要不可欠な物資の調達、提供を担当している。
  • 軍隊は、検疫措置と都市封鎖遂行のため市内に動員されている。
  • 計画開発省は、パンデミックにより1,230万人から1,850万人が失業すると推定している。この危機に対処するため、コロナウイルス危機により経済的苦難を受けている弱者のために「Ehsaas緊急現金プログラム」が計画された。144億パキスタン・ルピー(約96億円)の予算において、1家族あたり12,000パキスタン・ルピー(約8,000円)が困窮者に配布される。
  • 首相による慈善コロナ救援基金が設立された。
  • 政府は、コロナ救援活動のため政府を支援する「コロナ救援タイガーフォース」と呼ばれるボランティアチームを設立した。これまでに917,395人のボランティアが登録されている。
政府による食料支給を待つ人々の列

パンデミックから学んだ教訓:

パキスタンは過去に多くの災害に見舞われてきた。しかし、これらの国家緊急事態に対し国民は常に犠牲者に対して非常に寛大で見事であった。国民は、ウイルスの感染拡散を封じ込めるには社会的距離を保つことが重要であることを学んだ。それゆえ、「お家にいよう、無事でいてね」があいことばとなっている。公的医療システムの年間予算を強化する必要がある。感染予防に対する国民の意識を高めることが、パンデミックに打ち勝つ鍵となる。

パンデミックが日常生活にどのような影響を与えたか:

生活のあらゆる行動がこのパンデミックによって悪影響を受けている。私の大学もロックダウン状況に直面しているが、オンライン授業を通じて学術活動を進めている。社会的距離を保つという今回のような経験することは不便ではあるが、現状では避けられないことである。私の行動は、食料品や生活必需品を近所の空いている店舗へ買い物へ行くに限られている。定期的な運動と、 多くの水分補給を心がけている。健康的な食事とオンラインまたはモバイルによる社会的接触を維持することは、このパンデミックに向き合うためには有効である。私は一日も早く世界が再びその歩みを取り戻すことを待ち望んでる!

注)原文からの和訳はJSTによるものです。正確な表現やデータについては、英語原文をご参照ください。(原文はこちら