ネパールにおけるCOVID-19の状況

ネパールにおけるCOVID-19の状況

Ananta Dahal
Sharada Pathak

Ananta Dahal 1, Sharada Pathak 2
1 Agriculture and Forestry University, Nepal
(農林大学、ネパール)助教授
2Chitwan Medical College and Teaching Hospital, Nepal
(チトワン医科大学教育病院、ネパール)上級講師
ネパール、チトワン郡バラトプル
2021年8月31日

地域毎の隔離者、ICU、ベンチレータを要する患者、死者の数
地域(Province) 自宅での隔離 施設での隔離 ICU患者 ベンチレータ
患者
総死者数
Province 1 5547 453 97 42 1540
Province 2 1385 10 4 0 757
Bagmati 13332 1154 308 100 4605
Gandaki 7615 371 84 9 1255
Lumbini 3144 181 34 6 1648
Karnali 1349 50 6 3 452
Far Western 842 158 4 4 457
33214 2377 537 164 10750

新規症例:2021年8月31日にネパールで1,523人のCOVID-19新規症例がRT-PCR検査で確認されました。これによりネパールで確認されたCOVID-19の確認症例数は762,674人に達しました。

一方で、過去24時間以内に1,786人のCOVID-19患者が回復しており、ネパールでは回復症例の総数は、716,306人 (確認症例総数の93.9%) に達しています。また、COVID-19陽性患者の新たな死亡例が20人と報告され、総死亡数は10,750人となりました(出典:ネパール保健人口省プレスリリース)。

ネパールにおいてCOVIDパンデミックの影響を受けなかった業界は一つもありませんでした。パンデミックの影響を最も受けているのは、観光業やホテル業、教育部門、学生たちです。パンデミックの第2波が始まると、ネパール政府は今年も2回目のロックダウンを実施しました。今回のロックダウンは、都市部では500人、村落部では200人という現感染者数に応じて計画されました。その後、感染者が急増したため、全国的なロックダウンが行われました。ネパール内務省が必要不可欠であると指定したサービスを除くサービスや車両での移動に制限がありました。最近では、偶数番号の車両は偶数日に、奇数番号の車両は奇数日に移動できるというルールができました。しかし、現在では移動制限はありません。マスクの着用が義務付けられており、社会的距離を保つことが求められています。レストランやバーは午後8時までしか営業できません。ナイトマーケットは行われません。

ネパール政府は、ホテル産業、運輸産業などの最も影響を受けた業界に、銀行融資の金利の割引を提供しました。酸素工場に対して低金利の特別融資が提供されました。全国的に、社会活動家や若者たちは、飢えて困っている人々に食事を提供するための様々なキャンペーンを行いました。

ネパールでは今でもロックダウンが行われていますが、それは形を変えて制限命令と呼ばれています。制限命令に従わない場合は、「感染病法1963」に基づいて、罰金および/あるいは一定期間の禁固刑が課せられます。COVIDの第2波がネパールを襲ったため、今年は6カ月間のロックダウンとなりました。ネパール内務省は、22の部門を必要不可欠なサービス部門としてリストアップし、ロックダウンにもかかわらず活動を行うことを許可しました。その部門の一つが獣医サービスです。今年はパンデミックの2年目であり、昨年はより厳しいロックダウンに直面していたため、今年になって人々は非常に納得して、自己管理を行っていました。さらに、日常的な消耗品は生活必需品リストに掲載されており、食料品店や販売店は午後8時まで営業していたので、人々は毎日簡単に生活必需品を買うことができました。

マスクの着用は、今やネパール人の習慣となっています。しかし、マスクをあごにかけたり、鼻や口を覆っていなかったり、口を覆っていても鼻を覆っていなかったりと、間違った方法で着用している人が多く見られます。警察官は、そのような人々にマスクを正しく着用するように指導するのに忙しくしています。社会的な距離を取ることに慎重な人はほとんどいません。「感染病法1963」が行使され、マスクの着用、社会的距離を取ること、手洗い、消毒剤の使用などに関する全国的な啓発プログラムがラジオ、テレビ、携帯電話などで行われていますが、罰せられたり、罰金を科せられたりした例は極めて少数です。罰金額は100ネパールルピーです。

当初、診断には抗原検出キットが用いられていましたが、現在ではほとんどの確定症例がRT-PCR検査で診断されています。政府系病院では無料ですが、私立病院ではRT-PCR検査に2,000ネパールルピー以上の費用がかかります。現在、COVID患者の間では、SARS-CoV-2のデルタ変異株が確認されています。

ネパールでのワクチン接種状況
ワクチン名 コビシールドワクチン ビリオン不活化ワクチン
(コバクシン、シノファーム、
シノバック)
スプートニクV
ワクチン
(ChAdOx1-S)
1回目 2回目 1回目 2回目 接種済み(single dose)
この24時間内 9663 32068 12106 30655 636
2021年8月までの総計 2073951 1131521 3265301 1976639 1351601

ネパールでは5種類のワクチンの使用が承認されています。2種類は非複製ウイルスベクターワクチン(コビシールドとスプートニクV)であり, 3種類はビリオン不活化ワクチン(コバクシン、シノファームとシノバック)です。

非複製ウイルスベクター型は、以下の会社で製造されています。

  1. 1) Serum Institute of India:コビシールド(オックスフォード/アストラゼネカ製剤)
     これらのワクチンには日本やスウェーデンで製造されているものもあります。
  2. 2) ジョンソンエンドジョンソン社: ヤンセン

不活性化型は以下の会社で製造されています。

  1. 1) Bharat Biotech社:コバクシン(別名BBV152)
  2. 2) Sinopharm社(北京):BBIBP-CorV(Vero Cells) (別名コビロ)
  3. 3) Sinovac社:コロナバック

これまでに、ネパールの全人口の15%がワクチン接種を完了しています。ネパール政府は国民に無料でワクチンを提供しています。ワクチンはまず、医師、看護師、病院職員などの職業的リスクを持つグループに投与されました。次に治安部隊や救急車の運転手が対象となっています。その後、ワクチン接種は年齢に基づいて実施され、最初に70歳以上の人が対象になっています。今は40歳~45歳の人の番です。数カ月以内に、18歳以上のすべての人がワクチンを接種する予定です。

毎日の感染者数が増えるにつれ、ネパール政府はロックダウンを実施し、多くの人々が職を失いました。彼らは、基本的なニーズである食料や衣服を購入することができませんでした。社会活動家の中には慈善活動を行い、貧しい人々のために食料を提供した人もいました。地方政府も、飢えと戦う人を支援するために食料を配布しました。

教育システムはパンデミックにより最も影響を受ける分野の一つです。学校ではオンラインで授業が行われています。インターネットが整備されていない農村部では、生徒が教室にいる時間を非常に短くして授業が行われています。ネパール政府はすでに、必要なすべての予防措置と設備を整えた上で、学生と教員が対面で授業を行うことを発表しています。首都圏の学校は9月の第1週から始まっており、順次、全国の学校や大学が始まる予定です。昨年は、教育機関が対面授業を開始するのに合わせて学生が実習授業を受けましたが、今年もそれに合わせて実習授業が行われます。

COVIDのパンデミックにおいて、何千人もの人々が肺炎や免疫過剰反応などで命を落とし、犠牲者となったこと自体は悪いことですが、私たちにいくつかの良い教訓も与えてくれました。個人的には、パンデミックが残した最も注目すべきメッセージについて、危機に直面する時に家族の重要性や個人の衛生管理、そして、貯蓄の重要性と有用性が非常に大事です。パンデミックに対抗するためには準備態勢の整え、社会構成員間の総合理解など、数多くの課題が残っています。

家自体が生活の糧を得るための仕事場となり得ますのでインターネットの設備は非常に重要です。教育もそのインターネットに頼らなければなりません。ネパールにはまだ国内でワクチンを製造する施設がないため、科学技術や産業の面で進歩していかなければなりません。

病院のロビーにて。人々は社会的距離を取ることを意識していない。
社会的距離を守らず、マスクを正しく着用していないネパールの人々の集会
ワクチン接種者に与えられる証明書

注)原文からの和訳はJSTによるものです。正確な表現やデータについては、英語原文をご参照ください。(原文はこちら

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