新型コロナウィルスパンデミック、2020年 スリランカの状況

新型コロナウィルスパンデミック、2020年 スリランカの状況

2020年4月22日
Ushani Atapattu(スリランカ)

 中国湖北省武漢市から新型コロナウイルス(SARS-Cov-2(covid-19))が出現したことで、執筆時点でも存在する世界的なパンデミックが始まりました。その結果、感染が拡大した多くの国では、ウイルスの拡散を止めるために厳しいバイオセキュリティー対策を取らなければならなくなりました。スリランカも例外ではなく、当局は2020年1月26日に新型コロナウイルスに対して行動するための「国家コロナタスクフォース」を策定しました。

 スリランカは、2020年2月27日にカトゥナヤカのバンダラナヤケ国際空港で最初の患者が確認されるまで、新型コロナウイルスとは無縁の状態でした。彼女は中国武漢からの44歳の旅行者で、国立感染症研究所に入院し、完全に回復するまで治療を受け、2月19日に退院しました。これは、2020年3月10日にイタリア人旅行者のグループに同行した旅行ガイドが新型コロナウイルスの感染を報告されるまで、スリランカ国内で唯一の新型コロナウイルスの感染例でした。それ以来、国内で報告された症例数は急速に上昇しました。

 ウイルスの拡大を抑制するために、政府は学校や大学の教育活動を禁じ、すべての公共の場での集会も中止しました。新型コロナウイルスの感染者が増え続けたため、政府は2020年3月16日以降は休日に移行すると宣言し、日常において必要不可欠ではないサービスについては在宅勤務を指示しました。政府は可能な限り移動を制限するように国民に指示しましたが、これらは効果がありませんでした。

 このため、2020年3月19日に政府は島全体の警察による外出禁止令を発令し、現在に至るまで新型コロナウイルスの封じ込めに成功しています。新型コロナウイルスの拡大の危険性が高い地域として認識されていたいくつかの地区(コロンボ、カルタラ、ガンパハ、プッタラム、ジャフナ、カンディ)とは別に、他の区域では生活における必需的要件を満たす為、夜間外出禁止令を数時間だけ解除するなどの措置を講じました。

 政府は、テレビや様々なソーシャルメディアなど多くのチャンネルを通じて、新型コロナウイルスの拡大を防ぐことを国民に認識させるための教育を行っています。海外からスリランカに渡航した者とその潜在的な接触者に対しては、島全体にある37の検疫センターで14日間の強制隔離期間が設定されました。さらに、新型コロナウイルス陽性者の潜在的接触者の中には、14日間、自分の家で自己隔離を行い、地域の公衆衛生検査官と警察の協力を得て医療監視なども行われました。サバラガムワ州と中央州に属するアタルガマ村とアクラナ村の2つの村では、新型コロナウイルスの陽性患者が複数の地域に移動し、複数人と濃厚接触したとされ、14日間の強制的な隔離も行われました。図1は、国内の関連当局の対応と主要な出来事をまとめた図になります。

図1: Cumulative number of cases and key interventions taken by the Sri Lankan authorities. Source: Exit strategy of COVID-19 epidemic in Sri Lanka Recommendations of the College of Community Physicians (Public Health Specialists) of Sri Lanka (CCPSL); 15/04/2020)

 政府はウイルスの指数関数的な拡大を抑えることができましたが、少数ではあるものの、依然として様々な地域から毎日のように陽性患者が報告され、その大半はコロンボを拠点としています。現在の致死率は2.26%で、世界平均の6.88%よりも低いです。本稿を執筆した時点では、スリランカでは310人の新型コロナウイルス症例が確認されており(図2)、そのうち102人が回復し、7人が死亡しました。7人の死亡者はすべてWHOのガイドラインに従って火葬されましたが、宗教的な反対意見はほとんど出ませんでした。

図2: Timeline of cumulative increase of covid-19 confirmed cases in Sri Lanka till 17/04/2020. Source: https://hpb.health.gov.lk/covid19-dashboard/

 夜間外出禁止令、ロックダウン、ソーシャルディスタンスのために、スリランカ人の日常生活は変貌し、ヘルスケアや警察のような必要不可欠とされていたサービスを除いて、その他の必要でないすべての業務は停止されました。公共交通機関ももちろん機能していません。島全体の外出禁止令は2020年4月20日に厳格な制限の下で解除されました。しかし、コロンボ地区など重要箇所は依然として警察による外出禁止令が発令されており、依然として予断を許さない状況が続いています。

スリランカのカンディ市、外出禁止令の解除を受けて社会活動が再開(2020年4月22日)
出典:

COVID-19: Live Situational Analysis Dashboard of Sri Lanka, Health Promotion Bureau, https://hpb.health.gov.lk/covid19-dashboard/

Coronavirus disease (COVID-2019) situation reports, World Health Organization, https://www.who.int/emergencies/diseases/novel-coronavirus-2019/situation-reports

Epidemiology Unit, Ministry of Health, http://www.epid.gov.lk/web/index.php?lang=en

Exit strategy of COVID-19 epidemic in Sri Lanka Recommendations of the College of Community Physicians (Public Health Specialists) of Sri Lanka (CCPSL); 15/04/2020)

注)原文からの和訳はJSTによるものです。正確な表現やデータについては、下記の英語原文をご参照ください。

Covid-19 pandemic, 2020 – the Sri Lankan context
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