2020年6月のレポート

日本における新型コロナウイルス感染症の現状

門脇はるの
麻布大学獣医学部動物応用学科卒業生

日本初の感染者について*1

厚生労働省は2020年1月16日、中国の湖北省武漢市に滞在し、日本に帰国した神奈川県在住の30代の男性から新型コロナウイルスが検出されたと発表しました。男性は武漢市滞在中の2020年1月3日から発熱し、6日に帰国した後、神奈川県内の医療機関を受診しました。発症者の多くが武漢市内の海鮮市場の関係者とされていますが、男性は市場には立ち寄っていないと説明し、中国滞在中に新型肺炎に罹患したとみられる患者と一緒に暮らしていたと報告されています。

日本の感染状況について(2020年6月23日現在)*2

感染者数:18,096人
死者: 965人
退院者:16,870人

2020年1月16日以降、すでに感染を確認された患者の濃厚接触者や院内感染による感染が拡がりつつありました。2月3日には、クルーズ船ダイアモンドプリンセス号(以下クルーズ船)が横浜港に寄港しました。2020年2月5日、クルーズ船に感染した乗客がいることが確認され、日本政府はクルーズ船に乗っているすべての乗客と乗組員を検疫し、陽性の乗客だけが病院での治療のために上陸させられました。 クルーズ船で実施された検疫対応に関して、ウイルス感染の防止に関する多くの誤りと過失がありました。 その結果、乗客と乗組員712人が感染し、13人が死亡、651人が回復となりました。

その後は感染経路が辿れない患者も増加し、1日の感染者数が368人となった2020年4月7日に7都道府県(埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、大阪府、兵庫県、福岡県)に緊急事態宣言が発令されました。4月16日(1日の新規感染者576人)には、全国47都道府県に緊急事態宣言が発令され、本格的な外出自粛、商業施設・イベントの停止が余儀なくされました。他国とは異なり、外出の自粛要請ではありましたが、人出は大幅に減少しました。

約1ヶ月後の5月25日(1日の新規感染者21人)には全国で緊急事態宣言が解除され、6月19日(1日の新規感染者57人)からは他の都道府県への移動も可能となり、徐々に感染拡大前の生活に戻りつつあると感じています。
 

コロナウイルス発生により日本で変化があったことについて

  • 生活用品の品薄と高騰
    「ウイルス除去に効果のあるアルコールスプレー」、「マスクをしていれば感染しない」、「マスクとトイレットペーバーは同じ原料からできているからトイレットペーパーを買っておいたほうがいい」など、一時的ではあったが、ニュースやネットで取り上げられた商品の買い占め、買い溜め等により、生産が追いつかず入手困難となり、さらに値段も高騰していきました。
  • テレワークの推進
    緊急事態宣言発令後は、企業へも大きな変化をもたらし、可能な限りテレワーク勤務を行うよう要請されました。それに伴い、朝の満員電車も席に座れるようになるほど、通勤時の人出が減りました。慣れないテレワークで仕事の作業効率が落ちたり、テレワークを導入するためのネットワーク環境を整える必要があったりと、困難なことも多くありましたが、仕事を家で実施することで、これまで仕事に追われ趣味や家族に時間を割けなかった人々が、通勤時間が有意義な時間に変わった人もいました。また、社員が出勤しなくても仕事が回ることに気づいた企業もあり、今後の仕事のあり方を1人1人が考えるいい機会にもなったと考えられています。

日本での感染対策について*3

医療崩壊および感染拡大(クラスター発生の抑制)を防ぐため、コロナウイルス感染がはじまって以降、以下の対策が要請されました。

  • 『3つの密(密閉・密集・密接)』を避ける
  • マスクの着用(咳エチケット)
  • 手洗い・うがい

それらはコロナウイルスと共存していく新しい生活様式の方法としても継続して提唱されていますが、更に、商業施設や学校・企業でも密を防ぐための定期的な換気やソーシャルディスタンスの確保(人との距離を2m以上離す)、入場制限、検温、マスク着用の義務付け、出入口での消毒用アルコールの設置など、様々な対策がとられています。

緊急事態宣言後、人のいない渋谷*4
品薄のマスク*5
参考文献