【速報】日中大学フェア&フォーラム in イノベーションジャパン2017 - #02
2017年09月05日 三木 孝治郎(中国総合研究交流センター)
鉄道関連技術で活発な展示と発表--3大学が成果競う
8月31、9月1日、東京ビックサイトで開催された国内最大規模の産学マッチングイベント「イノベーション・ジャパン2017」の日中大学フェアでは中国でいま最も注目される各分野の展示・発 表が行われた。中でも急速に発展する国内の鉄道網を背景として世界レベルの研究開発や製品化が進む鉄道分野から3大学が展示を行ったのが目を引いた。
写真1 技術説明会の会場
鉄道関連展示を行ったのは技術説明会の冒頭に相次いで発表に立った北京交通と大連理工の2大学、それに展示に参加した同済大学を加えた計3校。い ずれも世界レベルの技術だが当面は国内需要を満たすのに忙しく、海外展開は今後の課題という。
北京交通大は鉄道インフラにおける変形評価の基礎となる「軌道交通線路全断面動態検査技術と設備」(本記=原稿1を参照)、大連理工大は「軌道設備構造応力センサーとモニタリングシステム」、同済大学は「 分岐器トングレール弾性基盤装置」についてそれぞれ発表・展示を行った。
大連理工大の「軌道設備構造応力センサーとモニタリングシステム」は、不足している現地での全天候型・長時間モニタリングについて分散式・無線式を提案したもので、温度、湿度、加 速度など多くのパラメータに対応する同大開発の悪条件抵抗型機器は鉄道部など中国国内の権威ある機関の試験に合格したという。その成果は京津都市間高速鉄道、大連地下鉄で採用されており、技術説明会でも「 国内外で初めての技術であり、世界の先端レベルにあるとの評価を受けた」(劉永剛・遼寧重大装備創造協同創新センター専任副主任)と胸を張った。
写真2 大連理工大学の展示
また、土木工学で中国トップクラスにある同済大学(担当:交通運輸工程学院・羅雁雲教授)はブースでの展示で、鉄 道軌道の分岐構造における有害空間に従来の分岐器の基本構造を変えずに外側がゴム製の装置を増設することによって分岐器の補修減と耐用年数の延長を実現し列車通過の際の安全性を向上させる新技術を紹介した。す でに都市軌道交通に応用され、列車の通過速度45km/hまでの範囲で振動衝撃を20%削減し、耐用年数を30%伸ばすことが期待されるという。
写真3 同済大学の展示
同済大学は鉄道関係にとどまらず日本側との提携関係強化に前向きであり、顧祥林副学長(写真4:左から3人目)を団長とする訪日団は今回の会期中に日本企業とも広く接触し、31日には科学技術振興機構( JST)中国総合研究センター(CRCC)と活発に意見交換した。
写真4 同済大学代表団とJST側との懇談風景