個別面談で活発な意見交換 日中フェア&フォーラム開催
2017年 5月15日 倉澤 治雄(中国総合研究交流センター上席フェロー)
日中間の学術交流としては最大規模となった「日中大学フェア&フォーラム in China 2017」(F&F)が13日、中国・上海の上海マートで始まった。
今回のF&Fには日本から45の大学、研究機関、高等専門学校が参加した。初日の13日は、日本側の25大学・高等専門学校と中国側大学との個別面談が行われ、中国側からは約50の大学から学長、副学長が参加した。
写真1 熱気あふれる会場の様子。
中国側からは短期留学や学生の交換留学、それに教員の派遣や共同研究に関する協定締結など様々な提案が行われた。また海洋開発や医学など、専門領域での共同研究のほか、大学での学部創設のノウハウを交換したいという提案もあったという。
個別面談に参加した東京理科大学の藤嶋昭学長は、「責任ある学長・副学長が直接面談する意義は大きい。これまでのフェア&フォーラムで最も活発だ」と感想を述べた。
また中国側からは、「互いの文化を若い人たちが知ることが大切だ」「中国から日本に留学するだけでなく、日本から来てもらう機会を増やしたい」などの意見が出された。東京都市大学の三木千壽学長は、「日本の大学への関心は極めて高い」と語るとともに、科学技術振興機構が2014年から始めたアジアの若者を招聘する「さくらサイエンスプラン」について、「留学の前に一度日本に来てもらうのは、極めて意義がある」と語った。
ところで今回のF&Fは、地方大学と高等専門学校の参加が大幅に増えたが、福島工業高等専門学校の中村隆行校長は、「初めての参加なので、中国のカウンターパートを探すには良い機会となった。また福島ということで、復興の現実を発信したいと思う」と語った。
写真2 来場者の質問に応じる各ブース。左手前は福島工業高等専門学校のブース。
会場は300人を超える関係者で熱気にあふれ、当初、日本の大学1校当たり6校の面談予定だったが、12校と倍以上に増やした大学も出るほどだった。
学長らによる個別面談の後、恒例の「日中交流会」が開催され、日中の学術関係者およそ400人が参加した。主催者を代表してあいさつに立った中国総合研究交流センターの伊藤宗太郎副センター長は、「日中交流の発展に向けて、明日のフォーラムを実りあるものにしてほしい」と述べた。
これに対して中国側であいさつに立った蔵広陵上海市欧米同学会常務副会長は、自らの留学経験を語った後、「上海は心の広い都市です。ぜひたくさんの方々に来てほしい」と呼びかけると、会場からは思わず拍手が上がった。
「日中交流会」はネットワークを広げるとともに、旧交を温める絶好の機会となり、和やかな雰囲気のうちに終了した。
以上