日中大学フェア&フォーラム 開催報告&レポート

孔子の生地の曲阜師範大学でセミナーを開催

2016年 5月10日 馬場 錬成(中国総合研究交流センター上席フェロー)

 孔子の生まれ故郷にある曲阜師範大学(戚万学・学長)を5月9日訪問し、さくらサイエンスプランなどによる日中の科学技術学術交流をテーマにセミナーを開催し、多くの学生と研究者が参加した。

 1955年に創立された曲阜師範大学は、現在2つのキャンパスを抱え、中国政府の重点大学にも指定されるなど教員養成大学としてトップクラスの大学である。科学技術振興機構(JST)特 別顧問の沖村憲樹氏ら代表一行が訪問すると、53歳の威学長がはつらつとした態度で出迎えてくれた。戚学長は37歳のときに山東師範大学の副学長に抜擢され、こ の任務を14年間務めてからこの大学の学長に登用された。

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写真1 曲阜師範大学を表敬訪問して戚学長(右端)と交歓した

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写真2 訪問した日本代表団と曲阜師範大学関係者の記念撮影

 現在、学部学生は3万2千人、大学院生4千人が在籍し、修士課程の専攻が133、博士課程は33の専攻がある。すでに48万人の卒業生を送り出し、次世代の人材養成のために中国全土で活躍しているという。 

戚学長は「大学のグローバル化を重視して取り組んでおり、これからも海外へ多くの学生、院生らを出したい。JSTのさくらサイエンスプランにも積極的に対応していく」と語り、日 本の大学との交流も進めていると表明した。

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写真3 セミナーには多くの曲阜師範大学の学生・研究者が参加した

 戚学長への表敬訪問のあと、日中大学フェア&フォーラムで訪中した日本の大学・高専関係者と同大学の学生、研究者らも参加するセミナーが開かれた。

 ここでも戚学長は、日中の科学技術交流の重要性を語り、「これからも積極的に交流を推進する。連携した学術交流に発展させましょう」と呼びかけた。

 さくらサイエンスプラン推進室長でもある沖村氏が、この事業の目的を説明し「若い世代の交流が未来志向にとって重要である。さくらサイエンスプランにも是非参加していただき、お 互いに研鑽するプログラムにしたい」と語りかけ、大きな拍手を浴びた。

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写真4 日中の関係者による記念撮影

偉大な思想家を祀る孔子廟などを見学

 これに先立ち、曲阜市で生まれた孔子を称える孔子廟と史跡を見学することになり、日本代表の一行は、スケジュールを調整して孔子廟と孔子墓石を見学・参拝した。中国でも孔子は特別の存在であり、廟 と墓地には多くの中国人観光客が訪れていた。

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写真5 偉大な思想家・孔子の墓所をお参りした

 今から約2500年前の孔子の言葉は、論語として残っているが、当時は印刷技術がないため弟子たちが樹木や竹の板に文字を書き、それを革ひもでつないで残したという。こ うした史実をたどりながら日本からの代表団は大きな感銘を受けていた。