日中大学フェア&フォーラム 開催報告&レポート

【詳報】日中大学フェア&フォーラム in イノベーションジャパン2015

2015年 9月 1日 馬場 錬成(中国総合研究交流センター上席フェロー)

日中大学フェア、東京ビッグサイトで開幕‐中国の31大学・研究機関が参加

 日中大学交流を推進している国立研究開発法人・科学技術振興機構(JST)中国総合研究交流センターは、8月27、28の両日、東京・晴海の東京ビッグサイトで「日中大学フェア」を開催した。今 年もJSTと国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)共催の「イノベーションジャパン2015~大学見本市&ビジネスマッチング~」と同時開催で、会 場には大学や企業関係者を中心に推定2万人以上が見学に訪れた。

 27日午前10時から行われた開会式では、主催者を代表してNEDOの古川理事長が「これからは大学発のイノベーションが求められており、成果も年々あがってきている。今 年も多くの研究成果が発表されており、イノベーションへの期待が高まっている。また中国の大学も成果を発表する会場もあり、是非、多くの成果を見てほしい」と挨拶した。この後、関 係者によるテープカットでフェアがスタート。多くの見学者が続々と入場し、大学や研究機関、企業が設けたブースを精力的に回り、最新技術情報の収集や商談などを行った。

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開会式でテープカットする関係者

 また、会場の一角には「JSTフェア2015」のコーナーが設けられ、中国の31大学・研究機関がブースを開設し、それぞれの研究開発成果や商品を展示した。

 たとえば、「パパイヤしわ防止洗顔不要フェイシャルパック」(海南医学院)、「濾過タンク技術とその複合工法」(上海交通大学)、「海綿状高分子吸着剤」(蘇州大学)、「 壁掛け式太陽エネルギー空気集熱モジュール」(大連理工大学)などで、多くの来場者の関心を集め、ブースの中国人スタッフに通訳を介し原材料や使用方法、値段などを熱心に聞く日本人もいた。また、北 京理工大学のブースを訪れた日本企業関係者(技術者)が、同大開発のドローンと同じ機能をもつ無人ヘリコプターに強い関心を表明。自社で開発したヘリコプターに搭載するコンパスの話をしながら、「是非、こ のコンパスを北京理工大で開発した無人ヘリコプターに搭載し、共同研究を進められないか」と提案し、今後の研究交流を約束した。

 一方、蘇州大学のブースでは、天然の繭(まゆ)に色が付いたものが展示されており、その天然カラーをそのままシルクとして製造する技術が紹介されていた。生産工程における環境負荷も小さく、そ の色も美しいため、訪問者の注目を集めていた。

 北京理工大学のブースで発表されていたのは、天然の蛭石を原材料して、高温膨張により作られる多孔質・無毒・無汚染の耐高温構造材だった。さ まざまな社会のインフラ設備の中の耐火材料として使えるということで、問い合わせが少なくなかった。

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見学者でにぎわう中国の大学のブース

中国側の「需要説明会」でも成果を発表

 さらに、中国の大学の研究開発成果については、共同研究や技術移転を促進するために「中国側研究成果及び需要説明会」も開催され、中 国の大学関係者がブースで発表されているそれぞれの研究開発成果を日本の大学や企業関係者らに詳しく紹介した。

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訪問する人々でにぎわう中国の大学ブース

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中国の大学から個別の研究成果の発表が行われた

中国の亜熱帯地方・海南医学院の研究開発が大もて

 この中で、日本人来場者の特に関心を集めていたのが海南医学院の医薬品、化粧品、香料などで、これらはいずれも海南島の特産材料を応用。同島は亜熱帯に属し、植物相も独特で、「 バジリコにきびケア顔面パック(シート)」は同島特産の芳香植物バジリコを使用しており、顔面パック(シート)は「にきびや毛包炎、皮疹などの治療や予防に効果がある」ということだった。また、「 パパイヤしわ防止洗顔不要フェイシャルパック」も同島特産の芳香植物シトロネラを材料にしており、「効果抜群」ということで、会場で話題となっていた。

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写真左:開発した製品を説明する海南医学院の曹教授(左)/写真右:開発商品を日本語で説明して掲示していた

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写真左:開発した化粧品や健康食品を展示/写真右:海南島の植物から製品化した化粧品なども紹介

なお、中国の31の大学・研究機関の内容は、下記のURLで見ることができる。
https://www.jcff.info/jp/views/seminar.html