日中大学フェア&フォーラム 開催報告&レポート

【速報】日中大学フェア&フォーラム in China 2014 - #04

2014年03月21日 馬場 錬成(中国総合研究交流センター特任フェロー)

進展する日中産学イノベーション連携活動
浙江大学サイエンスパークで日中交流会を開催

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趙主任から交流会への参加を歓迎する挨拶

浙江大学コンファランスセンターで開催された日中産学イノベーション連携交流会

 3月21日、中国・杭州市の浙江大学国家サイエンスパークホールで日中産学イノベーション連携交流会が開催され、日中の大学・研究機関の関係者ら約80人が参加して意見を交換した。

 午前9時から始まった交流会ではまず、葛朝陽・浙江大学国家サイエンスパーク主任教授からの歓迎の挨拶があった。

 葛主任教授は、「日中の関係者が産学連携イノベーションという共通のテーマを論議するために集まり、このように交流会を開催することを嬉しく思う。サ イエンスパークに訪問してきた皆さんを心より歓迎します」と述べたあと大略次のようなスピーチを行った。

世界の116大学と連携する浙江大学

浙江大学は1897年に創立された中国で最も歴史のある大学の一つであり、最も多い学部を持っている総合大学である。研究者の論文数では中国で第1位である。

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歓迎の挨拶をする葛朝陽・浙江大学国家サイエンスパーク主任教授

 浙江大学は現在、世界中の116大学と連携している。外国からの留学生が5千人来ており、この盛況に対応していま国際キャンパスを建設中である。

 さらに海外の多くの研究機関と交流しており、特に米国、英国などの知名度のある研究機関との連携を行っている。これからも日本の研究機関との連携をさらに進めたい。

 また研究機関だけではなく、海外の企業とも連携をしており、米国のIBM社などとも多くのチャンネルで絶えず改善、発展する方向を研究している。さ らにいくつものエリアに分けて戦略的に産学提携を進めている。このエリアは今後100まで増やしていく計画であり、グローバル展開で新しいイノベーションを創出する目標を掲げている。

サイエンスパークの貢献度ランキングで中国第3位

 浙江大学のサイエンスパークは、1998年に設立されたもので、2012年には中国のサイエンスパークの貢献度ランキングで第3位になっている。

 中国と日本との交流では、お互いに両国の長所を取り入れて発展してきた。浙江大学は長い間、日本の大学や研究機関と友好関係を深めてきており、産学連携でも著しい発展をしている。JSTは、新 しい技術の基礎研究から実用化の普及そして国際交流において努力してきている。特に中国との交流を積極的にしてきた。プラットフォームと日中の架け橋の役割を果たしてきた。

 今回も日本の多くの大学関係者が、日中のイノベーション進展を掲げて大学に来てくれた。今回の交流を発展させるために、さらにマーケットに目を向け、大変有意義な交流と発展を期待したい。イ ノベーションの成果を企業に移転し、活動として結実したい。

 本日の交流を通じて相互理解と友好を深め、産学連携をして新たな局面にまい進すると信じている。本日の交流会が成功することを祈る。

JSTの小原満穂理事から日本の産学連携活動を報告

 日本の大学とJSTに対する歓迎に対し、心から感謝申しあげる。中国のトップクラスのサイエンスパークを見学できることを嬉しく思う。

 この訪問は、日中大学フェア&フォーラムの一環として行われているものであり、日中大学の交流だけでなく学生の交流、学々連携、産学連携を促進するものである。これは2010年から始まったものであり、第 1回と第2回は日本で開催し、昨年の第3回から中国で開催しており今回は第4回になるものだ。

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挨拶するJSTの小原理事

 日本の大学展示会は北京と上海とで開催し、それぞれ全国41の国公私立大学が出展している。こうした活動で交流が深まっていると実感している。日本は、1 996年から5年間隔で科学技術基本計画を策定しており、2011年には第4期科学技術基本計画を策定した。

 この計画の中に産学連携も重要政策として位置付けられており、この政策を通じて産学連携は進んでいる。産学の共同研究の数、特許の出願数、実施数などは年々増えており確実に進展している。

 大学の技術が社会に移転し、日本のイノベーションにつながって例も出ている。たとえば、最近の10年間でも 青色発光ダイオード、酸化チタン光触媒など大学発のイノベーションとして発展したケースである。 

 今後も再生医療、ナノテクノロジー、デバイス分野、エネルギー、環境分野、ICP(誘導結合プラズマ)分野などでイノベーションにつながることが期待されている。

 JSTは政府の方針に基づいて基礎研究、産学連携、研究開発を支援してきた。これからも日本政府の方針にそって様々な研究の支援をしていく方針である。

 私たちにはいま課題が2つある。

 第1は国際的な産学連携である。そして第2は、大学発ベンチャー企業の育成である。この2つのテーマについては、今後一層力を入れていく。

 本日、浙江大学と国際交流協定(MOU)の締結を行い、この締結によって国際産学連携に取り組んでいく所存である。また大学発ベンチャーは、中国の方が日本よりも進んでいるように感じる。本 日は日中で意見交換し、中国の活動方法などを是非、学んでいきたいと思っている。

 歓迎いただいたことに感謝申し上げる。

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浙江大学とJSTの協力協定調印式。調印する小原理事(左)と趙栄祥・浙江大学工業技術研究院院長。
後ろは、調印式に立ち会うJST中村理事長(左から4人目)ら日中の関係者。