第2回日中大学フェア&フォーラム速報-1日目
2011年10月9日 馬場 錬成(中国総合研究センター特任フェロー)
第2回日中大学フェア&フォーラム、本日開催
日中の100を超える大学や研究機関が一同に会し、新たなパートナーシップを築く「第2回日中大学フェア&フォーラム」が、10月9日東京・池袋のサンシャイン文化会館で開催された。
まず、10時の定刻になると開催を告げるテープカットが行なわれた。中川正春文部科学省大臣、程永華中国大使、有馬朗人・武蔵学園園長、白章徳中国留学服務中心主任、安西祐一郎日本学術振興会理事長、遠 藤勝裕日本学生支援機構理事長、藤嶋昭東京理科大学長、中村道治JST理事長、吉川弘之CRCセンター長がテープをカットし、展示会場がオープンした。
このあと、中川大臣、程大使らが展示ブースの並ぶ会場に入り、各ブースの係員による説明を熱心に聞いたり、活動について質問するなど、楽しい見学の時間となった。
11時からは北京大学を皮切りにアピール大会が開催。初日は中国の計48大学がそれぞれの特色をアピールした。2日目の10日は、日本の大学や研究機関、計43団体のアピールを予定している。
展示会場で人気を集めていたのは、宇宙航空研究開発機構(JAXA)、旭化成グループなど11の機関と企業が展示している先端技術展示である。二 足歩行ロボットを展示している株式会社アールティ社には多くの見物人が集まり、人間の動作を真似て動く可愛らしいロボットに感嘆の声をあげていた。
また、宇宙探査をして地球に帰還した「ハヤブサ」の搭載カプセルと、イトカワの模型を展示しているJAXAのコーナーにも、日中の若者たちが立ち寄り、宇宙活動の様子を見学していた。
中でも、ひときわ人気を集めていたのは、産業技術総合研究所が開発したメンタルコミットロボットのコーナーである。「パロ」という名のアザラシのぬいぐるみに触ると、表 情を見せながら愛想を振り撒くその姿に思わず、可愛いと抱きしめたり、頭を撫でたり、記念に写真を撮る姿も目立った。
この日の特別開催プログラムでは、中国の科学技術・高等教育の推進に重要な役割を果たす各政府機関から、中国の独特な社会経済的背景の下で進められる産学連携、地域連携、イノベーション促進活動や、人 材活用方策などについて紹介する講演を行なった。
講演機関と講演者は次の通りである。
- 中国科学技術部・タイマツセンター副主任 修小平
- 中国科学院・院地合作局 副局長 孫殿義
- 中国教育部・留学服務中心投資処 処長 戴争鳴
午後からは、パネルディスカッション行なわれた。テーマは、「中国の大学における産学連携の取組み」である。このパネルディスカッションの目的は、日本の企業が中国へビジネス展開を進めるに当たって、中 国の大学が重要な役割を果たすが、中国の大学は日本の大学と比べ、極めて多様かつ強力に産学連携活動を進めている。そこで、パ ネルディスカッションでは中国の大学の現役トップからそれぞれの大学の産学連携の取組み、経験、成果などを紹介し、会場のご質問にも答えて議論を行なった。
講演機関及び講演者は次の通り。
モデレーター
- 大阪大学 理事・副学長 馬場章
パネリスト:
- 華東師範大学 副学長 範軍
- 東北電力大学 学長 李国慶
- 大連理工大学 学長補佐 李俊傑
- 西北工業大学 副学長 翁志黔
コメンテーター:
- 琉球大学 理事・副学長 佐藤良也
大学・企業のそれぞれが連携を目指して活動しているが、日中では立場や考え方、利益相反などで相違があり、その点をどのように越えていくかが課題としてあげられた。テーマを模索し、場 所と人材をどのように活用するのかなどについても、具体的な方法と今後の方針について話し合った。中国では産学連携は言葉としてはあるが、実質面の活動については今後の進展によるとの印象を与えた。
午後6時からレセプションが開かれ、日中の大学関係者と企業人が集まって情報交換の場となった。
初めに日本学術振興会理事長の安西祐一郎さんが挨拶に立ち、来日した中国の関係者を歓迎するとともに、様々なところでご協力いただいたことへのお礼を述べた。また、先に発生した東日本大震災の際には、中 国から多くの支援をいただいたことへ感謝の意を表したいと語り、今後日中の大学は時には良きライバルとして、また時には良きパートナーとして、切磋琢磨していこうと呼びかけた。
レセプションでは名刺交換をする光景が多数あり、飲食を楽しみながら情報や意見の交換をして交流を深めた。