日中ハイレベル研究者交流会
~低炭素人間居住環境~
我が国の建築物関連のCO2排出量は総炭素排出量の約4割を占めており、住宅・建築の低炭素化は、地球規模の気候変動プロセスを制御するための重要な分野である。気候変動は国境を越えた世界的な課題であり、世界の気温上昇を抑制し、低炭素開発に移行するため、幅広いレベルでの効果的な国際協力が必要である。
今回の日中ハイレベル科学者交流会は「低炭素人間居住環境のための東アジアの知恵と開発の選択」をテーマに、両国の専門家が低炭素建築の分野における最先端の技術革新について意見を交換し、カーボンニュートラル都市開発や低炭素建築の促進に資することを目的に開催する。
開催日時 | 3月25日(金)9:30~19:00(日本時間) |
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開催形式 | Zoomによるオンライン開催 |
主催 | 科学技術振興機構経営企画部さくらサイエンス推進本部、中国科学技術部外国専門家服務司 |
言語 | 日中同時通訳 |
参加費 | 無料 |
交流会パンフレットはこちら
プログラム:
開会式 司会:孫立濤(東南大学副総長) |
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09:30–10:15 | 主催者等挨拶 |
10:15–10:20 | 集合写真 |
セッション1:カーボンニュートラルに向けたアジアの人間居住環境デザインの革新 司会:張彤(東南大学建築学院院長、教授、国務院学位委員会建築学分野審査グループ事務局長) |
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10:20–10:40 | キーノートスピーチ1:王建国(中国工程院院士、東南大学建築学院教授) |
10:40–11:00 | キーノートスピーチ2:仙田満(東京工業大学名誉教授、元日本建築学会会長) |
11:00–11:20 | キーノートスピーチ3:崔愷(中国工学院院士、中国建築設計研究院有限公司チーフアーキテクト) |
11:20-11:40 | キーノートスピーチ4:三浦研(京都大学大学院工学研究科建築学専攻教授) |
11:40–12:10 | 円卓ディスカッション
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先端建築事例見学 司会:田煒(南京長江都市建築設計有限公司副総経理、上級エンジニア) |
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12:10–12:25 | 中国側の先端建築事例見学(ビデオ) |
12:25–12:35 | 日本側の先端建築事例見学(ビデオ) |
12:35–13:00 | 円卓ディスカッション
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13:00–14:30 | 休憩 |
セッション2:グリーンビルディング、スマートビルディングの技術的探求と統合的応用 司会:鉾井修一(東南大学建築国際示範性学院副院長、教授) |
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14:30–14:50 | キーノートスピーチ5:一ノ瀬雅之(東京都立大学都市環境学部建築学科准教授) |
14:50–15:10 | キーノートスピーチ6:劉加平(中国工程院院士、国務院学位委員会建築学分野審査部会委員長、西安建築科技大学建築学院教授) |
15:10-15:30 | キーノートスピーチ7:田中宏明(株式会社日建設計エンジニアリング部門 設備設計グループシニアダイレクター) |
15:30–15:50 | キーノートスピーチ8:林波栄(清華大学建築学院教授) |
15:50–16:20 | 円卓ディスカッション
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16:20–16:30 | 休憩 |
セッション3:東アジアの伝統建築における持続可能な建築の知恵とその現代的な継承 司会:劉永剛(江蘇省建築科学研究院総経理、上級エンジニア、国際グリーンビルディング評議会事務総長) |
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16:30–16:50 | キーノートスピーチ9:張彤(東南大学建築学院院長、教授、国務院学位委員会建築学分野審査グループ事務局長) |
16:50–17:10 | キーノートスピーチ10:吉野博(東北大学名誉教授、元日本建築学会会長) |
17:10-17:30 | キーノートスピーチ11:肖毅強(華南理工大学建築学院副院長、教授) |
17:30–17:50 | キーノートスピーチ12:小椋大輔(京都大学大学院工学研究科建築学専攻教授) |
17:50–18:20 | 円卓ディスカッション
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18:20–18:30 | 休憩 |
閉会式 司会:張彤(東南大学建築学院院長、教授、国務院学位委員会建築学分野審査グループ事務局長) |
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18:30–18:55 | 日中議長による総括、提言書発表
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18:55–19:00 | 閉会挨拶 |
開催報告
3月25日、科学技術振興機構経営企画部さくらサイエンスプログラム推進本部と中国科学技術部外国専門家服務司が共催し、科学技術部外国人材研究センターと東南大学が主管する「日中分野別ハイレベル研究者交流会~低炭素人間居住環境~」がオンライン形式で開催された。
京都大学大学院工学研究科建築学専攻の小椋大輔教授と中国工程院院士、東南大学建築学院の教授である王建国氏を座長に迎え、3つのセッションに分かれて講演やディスカッションを行った。
セッション1では「カーボンニュートラルに向けたアジアの人間居住環境デザインの革新」をテーマに講演やディスカッションが行われ、カーボンニュートラルに向けた低炭素居住空間づくりのための「人間中心」「現地中和」「低炭素木造建築の推進」という考えに基づき、アジアの居住空間デザインイノベーションの発展の方向性を示した。
セッション2は「グリーンビルディング、スマートビルディングの技術的探求と統合的応用」と題し、建築熱設計法の地域適合性、建築グリーン性能の設計と実際の使用における差異、建築設計と環境創造戦略の分離、キャンパス建築の持続可能なグリーン環境づくりなどの発表が行われた。
セッション3では「東アジアの伝統建築における持続可能な建築の知恵とその現代的な継承」をテーマに、ヴァナキュラー建築の気候構成、住居の温熱環境とエネルギー消費、伝統建築における気候適応の知恵、伝統建築の熱と湿度の特性と制御などの問題について発表が行われた。その他、日中の先進的建築事例がビデオにて紹介された。
最後に、日中の座長により、共通するアジア文化的基盤に基づいた持続可能な低炭素居住に向けた概念構築と道筋について、提言書が提出された。
提言書はこちらから
イベントの模様は日中英の3カ国語で生配信され、延べ15,000人以上が視聴した。