2020年5月のレポート①

ベトナムにおける新型コロナウイルスに関する報告

2020年4月23日

1.ベトナムにおける新型コロナウイルス感染症の感染状況

2019年から2020年にかけて流行している新型コロナウイルスが最初にベトナムで確認されたのは2020年1月23日。その3月後の4月23日までに268人が感染したと判明しています。その内の224人が回復し、死者は出ていません。17400件以上の検査が行われました。ハノイは最も感染が拡大している都市で、112人の感染が確認され、その内の81人が完治しています。ベトナムにおける新型コロナウイルスの感染状況は2つの段階に分けることができます。

まず、1月23日に、最初の2人が新型コロナウイルスに感染したと判明しました。その2人とは、ベトナムに住む息子を訪れ、武漢からハノイへやって来た中国人の男性と、その父親から感染したと思われる息子です。その1週間後、保健省は新たに3人の感染を確認。3人は武漢から帰国したベトナム人でした。第1波の最中にベトナムでは合計16人の感染が判明しました。2月25日、16人目の患者が、陰性の結果を受けて退院。一時的にベトナムでのコロナウイルスの流行が終息しました。しかし、外出制限の措置は、政府が新たな発表をするまでは続けられることになりました。

3月6日の夜、ハノイは緊急会見を開き、第2波として新たな感染が首都で確認されたと発表。患者は26歳の女性で、感染症が集団発生しているヨーロッパを旅行していました。現在までに252人の感染が報告されています。4月17日から現在までに新たな感染は確認されていません。
 

新型コロナウイルスの感染を抑制するために政府がとった対策

ベトナム政府は新型コロナウイルスの感染をよくコントロールしてきています。それは次に挙げるような、効果的にパンデミックに対抗するための広範囲に及ぶ対策を同時に行ってきたからです。

  • 1月23日から現在まで学校や大学を休校にすること。
  • 3月28日から4月22日まで公共サービス(食糧品店や薬局を除く)を一時的に営業停止としたこと。
  • パンデミックを防ぐために軍隊を動員したこと。
  • 4月1日から4月22日まで社会的距離拡大戦略を行ったこと。
  • ベトナムへの入国をすべて、厳しく取り締まったこと。
  • 3月7日から、ベトナムへの入国者に対して医療申告を義務づけたこと。
  • 3月21日から、ベトナムへ入国する全ての人を14日間隔離させ、新型コロナウイルスの感染を早期発見するために、検査を受けさせたこと。もし陽性が報告されたら、ただちにウイルスを囲い込むために、消毒をしたり、陽性者に加えて陽性者と接触した人をF1からF5(F1は陽性者と直接接触した人で、F2はF1の人と直接接触した人です)にランク分けをし、ランクに応じて隔離させたりするなどの対策を取ります。早期発見のために、感染の疑いがある人には検査を行います。
  • 医者や医療従事者の健康と安全を守り、パンデミックに対して前線で戦っている人たちを元気づけましょう。
  • 犯罪など隔離政策の妨げになるようなことを厳しく取り締まること。
  • パンデミックの予防策(特に手を洗うことやマスクを着用すること、公共の場では少なくとも2メートルは人との距離を空けることや家にいること)を広く人々に知らせたこと。

新型コロナウイルスのパンデミックから得た教訓

  • 政府の指導力を信用すること。
  • 政府が要請する規制を厳守すること。
  • 国民が一致団結し、パンデミック時の大変さを共有すること。

新型コロナウイルスは私の生活や仕事に影響を及ぼしています

  • 子供が学校に行けないから、世話をしてくれる人が必要になった。
  • 社会的な行動(文化活動や遊び、スポーツなど)が中断されることとなり、精神的にも影響を受けた。
  • 社会的距離拡大戦略のせいで仕事が制限されるようになった。
  • 政府の規制により研究がなかなか進まなくなった。

写真によるイメージ

社会的距離拡大戦略の様子
公共の場でのマスクの着用

寄稿者:Nguyen Thi Hoa(ベトナム ハノイ)

注)原文からの和訳はJSTによるものです。正確な表現やデータについては、下記の英語原文をご参照ください。

Report about Sars-Cov-2 in VietNam