COVID-19 パンデミックの状況報告と国の対応:パキスタン
Dr. Muhammad Adnan Saeed(さくらサイエンスプログラム参加者)
講演者(微生物学)、獣医動物科学大学、ラホール、パキスタン
2021年8月17日
国/場所
パキスタン - 都市(ラホールとジャング) - パンジャブ州
現在の状況
COVID-19統計(2021年8月17日) | |
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確認された感染者総数 | 1,105,300人 |
その日に新しく確認された感染者 | 3,221人 |
その日の感染者 | 87,423人 |
ICUに入っている感染者/重症感染者 | 4,896人 |
総死者 | 24,573人 |
その日の新たな死者 | 95人 |
COVID-19関連の課題
予防接種率の低さ、インフレとインフォーマルセクターに関連した一時的な失業による貧困が、パキスタンにおけるCOVID-19パンデミックの最重要課題とされています。しかし、パキスタン政府はこれらの困難を克服するために懸命に取り組んでいます。2億2,000万人を超える大きな人口、中程度の医療インフラと無関心な人々の行動が、予防接種率の低さを助長しています。
国民に対する政府の財政支援
政府は、受益者への現金給付を基本とした直接資金供給プログラムを導入しました。最も弱い立場にいる人々の財政援助のために、8億7500万米ドル相当の「Ehsa 緊急現金プログラム」が開始されました。医療・製薬業界には減税措置がとられています。ビジネスと生活を支援するために、「Kamyab Jawan」と呼ばれる6,000万米ドルを超える融資制度が開始されました。
パンデミック関連のロックダウンと罰則
パキスタンの戦略は、COVID-19のホットスポットのみを対象とした小規模のスマートロックダウンです。スマートロックダウンは、単一のブロックまたは通りのみに制限できます。しかし、その地域のマーケットの営業時間の短縮、マスクの着用、ソーシャルディスタンスの遵守など、その他の制限も設けられています。マスクを着用しないと罰金が課せられ、その額は地域によって0.6~3.0米ドルと異なります。
診断技術
現時点で、COVID-19の検査は合計17,276,450回実施されています。パキスタンでは、COVID-19の検査は、市販の規格品キットを用いたリアルタイムPCR法で行われています。
ワクチン接種プログラム
現在、18歳以上のすべての国民が予防接種に登録されています。予防接種は一般の人は無料です。シノファームとシノバックのワクチンが広く使用されています。ただし、スプートニクV、ファイザー・ビオンテック、モデルナ、アストラゼネカなど他のワクチンも使用されています。2021年8月19日現在、人口の約5.6%がワクチン接種を完了しています。
従来の医薬品
現在、COVID-19の患者を治療するために登録された従来の医薬品はありません。しかし、「Sana Makki (Cassia senna linn)」の葉から作られたお茶は、抗炎症作用や免疫賦活作用があり、有効であることがわかっています。
教育
教育機関の活動は、オンラインとオフラインの期間が交互となるハイブリッドモードで行われています。大学で、対面式の授業では理論と実践の両方の内容を教えていますが、オンラインでは理論の授業が中心です。インターネットへの安定した接続が困難な学生に対しては、大学側はキャンパスでの学習やオンライン試験の実施を認めています。
結論
多くの家族は、愛する人を失い、経済的危機に直面するという深刻な結果に向き合っています。しかし、可能性のある解決策としてのワクチン接種に対する国民の意識が高まっています。さまざまなセクターやオンラインサービス/ビジネスのデジタル化は、新たな高みを目指して変革を起こしています。新しいチャレンジは、常に新しい可能性と機会を生み出します。そのようなことを正しい方向に導くことが、成功とより良い未来を約束する唯一の方法です。例えば、コロナウイルス用のワクチンを緊急に製造したことで、HIVなど他の生物用ワクチンの製造にも刺激を与えました。今回のパンデミックの最大の有益な点は、グローバルな相互対応と各国間の協調の強化という点にあると思います。なされた発明と学んだ教訓は、多くの将来の地球規模の問題を解決するのに役立つでしょう。
注)原文からの和訳はJSTによるものです。正確な表現やデータについては、英語原文をご参照ください。(原文はこちら)