2021年9月のレポート

モンゴルでのCOVID-19の状況

Davaasuren Nergui 獣医学博士
モンゴル生命科学大学(モンゴル、ウランバートル)

2020年11月、モンゴルのウランバートルでCOVID-19の感染が初めて報じられました。モンゴル政府は2021年5月まで封鎖措置を講じ、コロナウイルスの感染拡大を防ごうと奮闘し、経済に及ぼす悪影響を減らそうとしてきました。封鎖措置を行っている最中、医療、エネルギー、食品サービスなど生活に不可欠な仕事をしている労働者はPCR検査を受けることで許可証と許可コードを入手し、通常通りに働くことができました。公営企業や民間企業のすべての労働者はオンラインで仕事を行っていました。封鎖措置が講じられている期間、すべての人が家にいました。そのため、食料に対する需要が増え、食料品の価格も高騰し始めました。商品や建築材の輸入が遅れているため、現在、物価は上がっています。モンゴル政府はエネルギー、水、銀行のローンの支払い期限を引き延ばし、人々の健康と生活の支援を行っています。

モンゴルでは6種類のワクチンの使用が承認されています。その6種類というのはRNAワクチン2種類(モデルナのmRNA-1273とファイザー/バイオエヌテック)、非複製ウイルスベクターのワクチン3種類(オクスフォード/アストラゼネカのAZD1222、ガマレヤのスプートニク・ライト、ガマレヤのスプートニクV)と不活化ワクチン(シノファームのBBIBP-CorV)です。政府は国際的な支援を行っているグローバル企業からワクチンを入手し、ワクチン接種を行っています。そのワクチンは政府により、無償で提供されました。免疫をつけるために、全国民の74.4%が1回目の接種を終え、70.1%の人が2回目の接種を終えました。(2021年9月15日現在)免疫をつけるためのキャンペーンを始めたことで、封鎖される地域は減り、すべての人が感染予防のために人との距離をとったり、マスクを着用したり、手を頻繁に洗ったりするというガイドラインに従い、正常な生活へと移行しつつあります。旅行する場合や地方に行く場合にはPCR検査を受ける必要があります。PCR検査で陽性となった人で症状が軽い人は、医師の指示の下で10日間、自宅療養するよう推奨されています。症状がひどい人、特に高齢者、糖尿病患者、妊婦は医師の指示の下、病院で治療を受けます。コロナで亡くなる主な原因は循環器疾患や糖尿病、肝臓の病気を抱えていることです。COVID-19の感染が広まった主な原因は、夏に人々が旅行をしたことと封鎖措置が緩和されてきていたことだと私は考えています。

職能団体が弱体化し、子供たちをはじめとする人々が感染から身を守れなくなっていることが、現在の感染状況の悪化の原因だと考えています。

2021年9月15日現在、COVID-19の累計感染者数は257,770人に達しました。新規感染者数は2351人でした。累計死者数は1046人となっています。首都では1071人、地方では1280人の感染が登録されました。加えて9月中旬から18歳以上の国民の希望者は3回目のワクチン接種を受けられることになりました。保健省によると、2回目の接種を終えた日の3か月後から接種を受けられ、条件に合う人はファイザーまたはシノファームのワクチンを接種できます。

私はモンゴル生命科学大学に勤務していますが、私たちの大学は2021年9月1日にオンライン授業を開始しました。学生たちはオンラインで講義を受けられ、セミナーや実験の際には15~20人の学生が教室に入室することができます。教職員は他の職員や学生に、学校にいる間は厳しい感染予防策に従うようにと常に指導しています。中学や高校の場合、オンライン授業と教室での授業が併用されています。幼稚園では、4、5歳の子供たちのクラスは15人までに制限されています。政府はスポーツ大会やナーダム(国民の祭典)など公共の場で人々が集まることを禁止しました。その結果、オンライン上でのサービスや配達サービスが増えています。

コロナの症状が出た人は迅速抗体検査を受けます。その結果が陽性になったら、専門機関に行きPCR検査を受け、再び診断を受けます。デルタ株の患者や濃厚接触をした人は国立感染症センターで治療を受けています。

モンゴルではCOVID-19のパンデミックの最中に新学期が始まりました。
図2:モンゴルでのCOVID-19のワクチンの3回目の接種の様子

注)原文からの和訳はJSTによるものです。正確な表現やデータについては、下記の英語原文をご参照ください。

COVID-19 situation in mongolia