2021年8月のレポート

韓国における Covid-19 の状況

Ukjin Kim, DVM, PhD
応用放射線バイオサイエンス部門
韓国放射線医学研究所(KIRAMS)

大韓民国 ソウル

2021年8月20日現在
  1. a) 確認された総感染者:232,859人
  2. b) 当日新たに確認された感染者:2,052人
  3. c) その日に確認された感染者:27,887人
  4. d) ICU入室感染者:不明
  5. e) 総死亡感染者:2,197人
  6. f) 当日の新たな死亡感染者:6人

このパンデミックの最大の問題は、経済への取り返しのつかない影響です。感染症の拡大を防ぐため、首都圏ではカフェやレストランは夜9時以降閉店します(ただし、デリバリーや持ち帰りは可能)。韓国ではアルコール規制や生活必需品の価格規制が行われたことはありません(2021年8月20日)。しかし、これらの対策が有効かどうかを答えるのは難しいです。

韓国では、COVID-19 によって収入に大きな打撃を受けた自営業者に対して、給付金の支給が行われています。また、上位12%の所得者を除いた88%の国民に給付金を提供することを議論しています。

今のところ、韓国ではロックダウンが実施されていません(2021年8月20日)。

自宅隔離中に外出したことで200万ウォンの罰金が課せられたケースもあります。ソーシャルディスタンスを守らなかったり、マスクを着用しなかったりした場合、300万ウォンの罰金が科せられます。

PCRキットによるCOVID-19検査を実施中です。COVID-19 の検査は基本的に無料ですが、個人的に必要な場合は有料となります(例えば、海外出国のために陰性結果が必要な場合は、約12万~20万ウォン)。2021年4月18日、韓国で初めてデルタ変異株の症例が検出されました。それ以来、デルタ 変異株は感染確認された患者の間で継続的に検出されています。ラムダの 変異株は韓国ではまだ確認されていません(2021年8月20日)。

韓国の総人口は約5,180万人で、18歳以下が800万人(15%)、19歳以上が4,390万人(85%)となっています。韓国では、2021年2月26日に第1回目のワクチン接種が開始されました。海外の韓国人や長期滞在の外国人は、政府に登録していてかつ要件を満たしていれば、韓国人と同じ条件でワクチンを受けることができます。不法移民や不法滞在の外国人へのワクチン接種も2021年8月5日から始まりました。政府は、9月までに1回目のワクチン接種を完了し、10月までに2回目のワクチン接種を完了して、11月までに国民70%の集団免疫を達成することを計画しています。韓国では、4種類のワクチンが全住民のワクチン接種に使われています:アストラゼネカ、ファイザー、モデルナとヤンセン。現在、24,812,397人(48.3%)が1回目の接種を受け、11,106,027人(21.6%)が全接種を完了しています(2021年8月20日)。ワクチン接種は無料で提供されます。

図1 韓国の保健所で予防接種を受ける男性
図2 ファイザー社のCOVID-19ワクチン原液のバイアル(左)と、
注射用の生理食塩水で希釈したワクチンのバイアル(右)。

現在、韓国ではCOVID-19の治療薬として、米国ギリアド・サイエンシズ社が開発したレムデシベルと、セルトリオン社が開発した韓国初のCOVID-19治療薬であるレッキロナが使用されています。

大韓赤十字社は、COVID-19パンデミックの早期終息に向けて、様々な救援活動を行っており、そのための募金活動を行っています。この寄付金は、マスクや手指消毒剤、非常食セットなどの救援セットの提供や、災害心理学の専門家による弱者や自主隔離者のためのカウンセリングなどに使われます。また、赤十字社が運営する赤十字病院を通じて、患者の治療や確認した感染者のスクリーニングを支援している他、寄付金は医療スタッフの支援、検疫活動、低所得者世帯への生活用品の支援などに使われています。

このパンデミックは、家族や友人との絆を断ち切り、失業者を増やすなど、社会に大きな悪影響を及ぼしています。しかし、パンデミックによって人々の衛生観念が向上し、インフルエンザなどの病気の感染が減るというメリットもありました。また、COVID-19治療薬やワクチンなどの産業の発展にも大きく貢献しました。今回のパンデミックの影響は深刻ですが、これを乗り越えることで、今後の新たなパンデミックへの対応力を養う良い機会になるでしょう。

注)原文からの和訳はJSTによるものです。正確な表現やデータについては、英語原文をご参照ください。(原文はこちら