2020年5月のレポート

インドネシアにおける新型コロナウイルスのパンデミック

2020年4月21日

インドネシアの状況

 東南アジアに位置するインドネシア。そのインドネシアでは2020年3月2日、国内で初めての新型コロナウイルス感染症の症例が2件、確認されました。その2人はダンスクラブで日本人観光客と接触をしていた、西ジャワ州のデポック市に住む31歳の女性と、64歳の母親。その日本人観光客(女性)は、2月初頭にインドネシアを訪れ、2月27日に現在働いているマレーシアで新型コロナウイルスの検査結果が陽性と判明。彼女は2月17日に発熱し、療養をしていました。のちに民間の医療機関での治療を開始。2月20日に新型コロナウイルスの検査を受け、27日に陽性と判明しました。しかし、今はすでにインドネシアにおける感染1例目となった2人の患者は回復しています。現在、インドネシアでの陽性者数は6760人。その内の747人は回復し、590人が亡くなりました。データは2020年4月21日にcovid19.go.idに載っていたものに基づいています。

インドネシアでのウイルスのコントロール

 第1例目が確認されてから、インドネシア保健省は2人の新型コロナウイルス陽性患者の行動履歴を追跡し、2人と接触した人物を探しました。政府は新型コロナウイルス感染症に打ち勝つための費用を負担するつもりでいます。ジョコ・ウィドド大統領は、政府は、WHOの基準に沿った新型コロナウイルス患者の隔離部屋を備えた病院を100軒、用意したと声明を出しました。第1例目が発表されてから、インドネシアではパニックが発生。国民は必要以上のマスクを買い占め、価格が高騰しました。

 その後、政府は「家で働こう」、「家にいよう」という声明や、外出する際には社会的・身体的距離を保ち、手をよく洗い、マスクの着用を忘れないようにという指示を出しました。政府は新型コロナウイルス用の緊急病院や隔離部屋を用意し、公共の場所に手を洗う設備を整え、消毒液を配り、消毒室を設置するという取り組みをしています。また、国民に対して、すぐに結果が分かる検査を大規模に行うこととし、綿棒を使った検査を実施。もし、簡易検査で陰性の結果が出たら、次の週にも検査を受けることとし、陽性が出た場合には、本当に感染したのか確かめるために、綿棒をPCR(ポリメラーゼ連鎖反応)検査に回しています。インドネシアのいくつかの都市では現在、「大規模社会制限」を行っています。これは、ロックダウンよりも一段階下の対策です。

 このパンデミックから、私たちは追跡や監視、隔離や国民がルールを守るように教えることの重要さを学ぶでしょう。これらは、このパンデミックに対処するために大切なことです。また、このパンデミックの渦中で、仕事や毎日の活動で忙しく動き回った後に、家族で集まることが大切であると感じるでしょう。このウイルスの感染の拡大は私の毎日の生活や仕事に影響を与えています。こんな世界規模でのパンデミックを体験するのは、人生で初めてのことです。私は在宅勤務をして、家でオンライン授業をしなければいけません。実を言うと、eラーニングやオンライン授業は生徒にとっても、私にとっても初めてのことではありません。何年もeラーニング行ってきましたが、2つのグループのためだけでした。中間試験をオンラインで受けられるように準備し、おそらく学期末までの全部の授業をオンラインでやらなければいけないというのは初めてのことです。ほぼすべてのモスクが閉鎖されるのもインドネシアでは初めてのことです。人々は毎日のお祈りや金曜日の礼拝を家で行っています。街の状態は落ち着いて見えますが、感染症の指定病院では人であふれています。平常時とは異なる様相です。パンデミックが早く終息し、皆がいつもの生活に戻れることを願っています。

スラバヤでの身体的距離拡大戦略の様子
出典:Jawa Pos のRadar Surabaya (スリャント氏撮影)

Dhandy Koesoemo Wardhana博士(獣医学)
アイルランガ大学(インドネシア スラバヤ)
獣医学部

注)原文からの和訳はJSTによるものです。正確な表現やデータについては、下記の英語原文をご参照ください。

Covid-19 Pandemic in Indonesia