2020年4月のレポート①

インドネシアにおける新型コロナウィルスのパンデミック

ムハンマド・トホハウィ・エルジヤド・プルナマによる報告

2019年の年末から問題視されていた新型コロナウイルスの感染拡大。新型コロナウイルスは世界210の国と地域、2つの国際的なクルーズ客船に甚大な影響を及ぼしており、2020年4月19日時点で確認された陽性者数は234万856人、総死亡者数は160,903人となっています。インドネシアにおける新型コロナウイルスのパンデミックは、2020年3月2日に西ジャワ州のデポックで2人の陽性者が確認されたことから始まりました。実証確認の結果、アーティストとして活動していた2人の患者が外国人と接触していたことが判明しました。2020年4月18日現在、新型コロナウイルスの陽性者は6,248人で、回復者は631人(10.1%)、死亡者は535人(8.6%)になります。特にスラバヤ市では270人の陽性者が確認され、回復者45人(16.7%)、死亡者29人(10.7%)になります。この発生率の高さから、インドネシアはASEAN諸国の新型コロナウイルス確定症例数が最も高い国となり、アジアでは11位となっています。

一方、インドネシア共和国保健省では、新型コロナウイルスの疑いがある人をいくつかのステータスレベルに分類しています。

a. 医療監視下にある感染疑惑患者:急性呼吸器感染症、すなわち発熱(38℃以上)を有し、咳、呼吸困難、インフルエンザ、軽度から重度の肺炎のいずれかの呼吸器疾患の症状・徴候を伴い、臨床症状に基づく他の発病要素がなく、症状が出る前の14日間に旅行歴または現地での感染が報告されている国・地域に居住した経験があり、新型コロナウイルスが確認された人との接触歴がある人を基準とし、医療機関の監視下にある患者。

b. 医療監視を受けている人:すなわち、発熱(38℃以上)を経験している人、またはインフルエンザ、咽頭痛、咳などの呼吸器系障害の症状を経験している人で、臨床症状に基づく他の発病要素がなく、症状が発生する前の直近14日間に旅行歴または現地感染が報告されている国・地域に居住しており、新型コロナウイルスが確認された人との接触歴がある人。

これらの基準に基づき、医療監視下にある感染疑惑患者は12,979人、医療監視を受けている人は176,344人と報告されている。

インドネシア共和国政府は新型コロナウイルスの感染拡大を国難と指定し、ジャカルタ、西ジャワ州など大量発生している一部の地域や地区を含む、最も症例が多く確認された州で大規模な社会的制限を実施する方針を発表しました。大型の市場、スーパーマーケット、教育機関、オフィスなど、大勢の人が集まる場所はすべて一時的に閉鎖されました。特定の業務や、交互に出勤する人は業務に従事することが許されています。実際、モスクや教会、寺院なども一時的に閉鎖され、すべての人々がそれぞれの家から礼拝するようになっています。これらは全て、新型コロナウイルスの感染の連鎖を断ち切ることを目的としています。政府は、中間層の人々の経済状況を守るために、ロックダウンを決定したのではありません。一部の経済活動、公共交通機関、公共アクセス、食料品店、物流の移動は一部許可されています。外出時には毎回マスク着用することを義務づけ、ソーシャルディスタンスの適用、こまめな手洗い、公共施設での消毒、自宅隔離をより良くするためのキャンペーンなども実施しました。

政府は新型コロナウイルスが確認された陽性患者のために132もの感染病院を設置しています。また、医師、看護師、患者の家族、患者と接触したことのある人など、ハイリスクな人々を対象にPCR検査の数量を増やしています。また、医療機器、医薬品、病院の改修、下層経済圏への援助などのために405兆ルピア(260億ドル)の予算を用意するなど、新型コロナウイルスへの対応にも力を入れています。

医療監視下にある感染疑惑患者の検査

新型コロナウイルスのパンデミックについては、人口が多く、多様な社会状況が混雑しているインドネシアでは、外出してはいけないという命令を実行することは非常に困難です。また、中間経済層以下の人々の経済面を考慮して、外出禁止政策を取らないようにしなければいけません。大規模な社会的制限政策により、社交的で集団行動を好むインドネシア人で、かなり大きな影響を及ぼしました。新型コロナウイルスのパンデミックは他にも、清潔な生活習慣や、栄養バランスのとれた食事を維持し、労働や礼拝をし、家族や友人、同僚との時間を大切にすることがいかに重要であるかという教訓を与えてくれました。政府は、経済状況、財政政策、物価統制、ルピア為替レートのコントロール、パンデミック終了後の観光業の回復、医療サービスの質の維持、失業者のための新たな雇用の開放、人道的な社会支援などといった政策をとるため慎重に動いています。政府もイード・アル・フィトルの休日の間に人々が集まることを制限しています。すべての面で政府は、パンデミックがいち早く終息するように働きかけています。

公共施設でのソーシャルディスタンス

新型コロナウイルスの状況下で、私は大学の方針に沿って自宅から業務を行いました。私の授業や試験はすべてZoomと大学のプラットフォームを利用したオンライン試験で行っています。研究活動は非常に限られており、研究室を数人で交代し利用しています。コミュニティにおける交流活動も一時的に延期されています。買い物する時は公共交通機関ではなく、オンラインで交通手配(Gojek または Grab)しています。私が外出する時は、何か標準的な手順で何かしらの作業を行うときだけです。

注)原文からの和訳はJSTによるものです。正確な表現やデータについては、英語原文をご参照ください。(原文はこちら

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