2018年度 活動レポート 第292号:静岡理工科大学

2018年度活動レポート(一般公募コース)第292号

高度情報化社会を見据えて、日中の学生達によるIoTに関するPBL活動を実施する。

静岡理工科大学機械工学科
教授・国際交流センター長 十朱 寧さんからの報告

1.概要

本学は、静岡県西部に位置し、理工学部と情報学部を擁する私立理工系大学です。本学の国際交流事業は、2002年FIFAワールドカップが、本学に近接する小笠山総合運動公園ECOPAで開催されたことを契機に活発に運営されています。現在、海外大学との交流協定等は、韓国、中国、台湾を中心に4ヶ国、17大学と拡がりをみせています。そんな中、さくらサイエンスプログラムも今回で3回目の実施となりました。

平成30年11月2日(金)から11月8日(木)の7日間、本学と学術交流提携を結ぶ南通大学(中国江蘇省南通市)から学部生5名(引率1名)及び提携を予定する南通理工学院(中国江蘇省南通市)から学部生5名を本学へ招へいしました。

今回、「高度情報化社会を見据えて、IoT技術を関するPBL(Project Based Learning)活動」をテーマに、視察・文化体験では、日本の高度なものづくりの歴史や技術と日本の文化や自然を学ぶことを目的として、浜松地域の自動車メーカーの歴史館や富士山周辺の文化遺産を視察しました。また、PBL活動では、学生達が知識・技術を持ち寄り、グループワークを通して、学生の成長を促すプログラムを企画・実施しました。

 
プログラム
1日目 来日、オリエンテーション
2日目 富士山や文化遺産の視察
3日目 スズキ歴史館(スズキ株式会社)
うなぎパイファクトリー(有限会社春華堂製菓工場)を視察
4~5日目 「IoT技術を駆使した車両の自律運転」に関するPBL活動
6日目 英語によるグループ発表
7日目 帰国
 
 

2.視察と文化体験

参加者は富士山周辺を視察し、日本の文化・歴史や自然に肌でふれあい、日本への理解を深めました。浜松市にある「スズキ歴史館」や「うなぎパイファクトリー」を視察しました。

スズキ歴史館での様子

日本を代表する自動車企業であるスズキ株式会社の歴史を紹介している「スズキ歴史館」では、歴史館の方から浜松で織機製作会社として創業し、自動二輪開発を経て、自動車開発へ進出したという会社の歴史や、海外進出時のエピソードなど貴重なお話を頂き、熱心に耳を傾けていました。「うなぎパイ」で有名な有限会社春華堂が経営している「うなぎパイファクトリー」では、製菓の製造工程の中で産業ロボットが稼動している様子を見ることができました。これらを通して、日本や浜松地域の高度な自動車・産業用ロボット技術への理解を深めることができました。

3.PBL活動

本学の学生10名(日本人学生8名、中国人留学生2名)と招へいした中国の学生達が5グループに分かれて、具体的な課題を学生同士で話し合い、「IoT技術を駆使した自動車の自律運転」としました。内容は制御プログラムの作成、センサーを通した外部情報の取得、インターネットからの指示等により、車両の自律運転を実現させようとするものでした。本学教員の助言を得ながら、協力してデモ車両を作成する様子や英語で白熱した議論を交わす様子が見られ、双方にとって良い経験となったと強く感じました。

PBL活動の様子

PBL活動の最終日、本学の他の教員も参加し、全グループが英語で発表を行いました。制作したデモ車両が超音波センサーにより障害物を回避した際には、それらの方から拍手が送られていました。

PBL活動で作成したデモ車両

発表会後の懇親会では、緊張から解放され、数日間の共同作業の苦労を労いながら、学生達の間に笑顔があふれ、PBL活動を通して良い関係作りができたのではないかと思いました。

懇親会の様子

4.まとめ

短い時間の中で、学生達は協力し合い、IoTを活用した企画、設計、製作、発表など多くの活動を行いました。

学生にとっては、PBL活動や文化体験を通して、異国の学生と触れ合い、大きな刺激を受けることができたと思います。今回のプログラムで知り合った者同士が、今後も交流を続け、切磋琢磨し、いつかもっと大きな事業を協力し成し遂げてくれることを願います。

最後に、多大な支援を頂いた「さくらサイエンスプログラム」に対して感謝の意を表します。

PBL活動後の集合写真