2017年度 活動レポート 第429号:大野市

2017年度活動レポート(一般公募コース)第429号

東ティモールの若者が、大野市で水を守る取り組みや環境保全について学ぶ

福井県大野市からの報告

さくらサイエンスプログラムで東ティモール民主共和国のドンボスコ・セントロ・テクニコ・コモロ職業訓練所の学生5名と引率者1名を招へいしました。(2018年3月8日~13日、6日間)

東ティモールの専門学校で教えている土木技術水準は十分ですが、国の水道の維持・管理水準は低く、首都ディリでは地下水が減少したり、地下水汚染が発生しています。

福井県大野市は地下水に恵まれ、生活水として使っていますが、かつて水枯れを経験し、それを市民とともに克服してきた歴史があります。その水を守る取り組みや環境保全について学生たちに学んでもらい、今後自国でリーダーとして活躍すること、日本で学ぶことの動機付けにすることを目的に実施しました。

3月8日(木)に招へい者6名が大野市役所を訪れ岡田高大市長と山崎利昭議長、廣田憲徳副議長に表敬訪問を行いました。

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大野市長、大野市議会議長、副議長表敬訪問の様子

3月9日(金)は真名川ダムの視察を行い、ダム内部を歩きながら治水施設の役割について説明を聞きました。

次に、市内の小学校、高校へ赴きました。小学校では、ICTを利用した授業風景や掃除の様子に関心を深め、給食と昼休みを利用して児童と交流しました。高校では充実した設備に関心を寄せていました。

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真名川ダム見学の様子
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高校見学の様子

続いて、森林に放置されている間伐材を活用したバイオマス発電所を訪れ、森林を守ることが水を守ることにつながることを勉強しました。その後実際に発電所内部を見学し発電の仕組みについて学びました。

3月10日(土)は、湧水地の視察を行い、隣接する施設では、きれいな水にしか住まないイトヨの生態や、水枯れが起きた原因とその克服の取り組みを学びました。また、午後には下水道施設を訪れ汚水を浄化する仕組みを学び、一日を通して水文化の理解を深めました。

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水で喉を潤す学生たち
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上下水道施設にて説明を受けている様子

3月11日(日)は前日に続き湧水地の視察と市内を観光しました。夕方は、市民の方も交えて交流会を開催し、地元食材を使った手作りの料理が振る舞われ、学生たちから歌のプレゼントや踊りで楽しい時間を過ごしました。

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湧水地 御清水にて記念写真
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交流会の記念写真 学生たち直筆の字を背景に

3月12日(月)は愛知県へ向かい、「千のトイレプロジェクト」で衛生面の支援を展開している王子ネピア株式会社を訪問し、その内容について説明を受けた後、工場内で製品が作られている様子を見学しました。東ティモール民主共和国大使館のフィロメノ・アレイショ・ダ・クルス特命全権大使が東京から学生たちの様子を見に来てくださいました。

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王子ネピア株式会社 名古屋工場にて記念写真

3月13日(火)は、京都市の総合地球環境学研究所を訪れました。阿部健一教授に所内の案内や講義をしていただき、世界の環境問題の解決に向けての取り組みや世界各国への支援内容を学びました。

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阿部教授による講義の様子

全日程を通して、学生たちから多くの質問があり、学習する意欲の高さが見られました。日本を発つ際には、このような機会を提供してくれたこと、行く先々でのおもてなしと大変有意義な時間を過ごせたことへの感謝の言葉をいただきました。

最後に、本プログラムの実施に支援していただいた「さくらサイエンスプログラム」とご協力してくださった関係各所の方々に心からお礼を申し上げます。