2017年度 活動レポート 第223号:名古屋大学未来社会創造機構

2017年度活動レポート(一般公募コース)第223号

テクノプレナー人材育成に貢献する、タイの社会人学生招へい

名古屋大学未来社会創造機構からの報告

さくらサイエンスプログラムの支援を受け、2017年9月28日から10月5日までの8日間、タイ王国のチュラロンコン大学テクノプレナーシップ・イノベーション マネジメント プログラム(以下、CU TIP)から10名の大学院生を招へいし、交流を行いました。

CU TIPは、起業に挑戦する人材や産業界でイノベーションを起こす人材の育成を目指す学際的な大学院プログラムであり、名古屋大学の産学連携基幹部局である未来社会創造機構と、2017年8月に、産学連携研究や人材育成に関する学術交流覚書を締結しました。

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キャンパスツアー中の記念撮影
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ドライビング・シミュレータを利用した研究体験

産業の高度化が喫緊の課題であるタイでは、技術を駆使して新しい価値やビジネスを創出するテクノプレナー人材の育成が進められています。本交流プログラムは、覚書締結後初めての交流活動として、その取組に貢献するとともに、未来を担うテクノプラナー人材と日本との関係構築の契機とすることを目的に実施しました。

新しい価値の創出に必要な思考法を学ぶ

本交流プログラムでは、3つの地域(都市部(バンコク)、過疎地、離島)の20年後の理想とする暮らしを想像するワークショップと、TRIZを応用した課題解決手法を検討するワークショップを行いました。CU TIPで社会課題を解決する研究デザインや研究成果の事業化などについて学ぶ招へい者にとって、新たな思考法によるアプローチを学ぶ、有意義な機会になったのではないかと思います。

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ワークショップでの議論の様子

滞在中には、日本が強みを持つ、持続可能な社会を指向した革新的な環境材料と社会システムに関する国際会議に参加し、2014年ノーベル物理学賞受賞者である天野浩教授(名古屋大学)の基調講演を聴講しました。忍耐強く研究を続けてきた天野教授の姿勢と熱意に、招へい者は一様に感銘を受けていました。

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天野浩教授(2014年ノーベル物理学賞受賞者)との記念写真

日本の産業を学ぶ

トヨタ産業技術記念館では、世界最大級の企業に成長したトヨタ自動車の、自動織機から自動車産業への変遷の歴史と、日本を代表するテクノプレナーである豊田佐吉と豊田喜一郎の功績について、学びました。

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トヨタ産業技術記念館での記念写真

また、住宅設備機器メーカー最大手の(株)LIXIL 榎戸工場を訪問し、トイレの製造工程を見学しました。オートメーション化された最先端の工程と、職人が一つずつ手作業する伝統的な工程の二つを見比べ、ものづくり技術の伝承や進化の重要性について学びました。

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LIXIL榎戸工場での記念写真

今回の交流プログラムでは、新たなアイデアの実現に向け、技術・仕組みなどを取り入れ、事業化を目指すことに強い興味と意欲を有する学生を中心に招へいしました。

10名のうち半数がすでに起業しており、滞在中に体験し学んだことを、いかに自分の研究・ビジネスに結びつけるか、折りに触れて思案していたようで、プログラム中も活発な意見交換が度々行われました。

更に、修了式後の懇親会では、本学教員との連携の可能性についても様々な提案があがりました。本学にとっても、本交流プログラムの実施は、タイの産業界についての理解を深める足がかりとなり、今後の国際産学連携研究活動の促進が期待されます。

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修了証授与後の記念写真

このような貴重な機会をいただけたことに、さくらサイエンスプログラムならびに関係者の皆様に深く感謝いたします。