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活動報告(一般公募コース) 第171号

地盤力学分野における若手研究者養成のための日泰中交流プログラム

横浜国立大学からの報告

<概要>

 本活動は、横浜国立大学の菊本統 准教授と崔瑛 准教授(ともに都市イノベーション研究院 地盤工学分野)および国際戦略推進機構が計画し、同大学院生2名の協力得て2017年9月25日〜10月2日に実施しました。

写真1
修了証授与後の集合写真

 海外からはタイ・チュラロンコン大学からSuched Likitlersuang教授と大学院生7名、中国・上海交通大学から大学院生2名、香港理工大学から殷建華教授と大学院生2名、清華大学から大学院生4名、東南大学から大学院生3名を本事業により招へいしました。また、タイ・チュラロンコン大学のTirawat Boonyatee准教授、中国・上海交通大学の叶冠林教授および東南大学の何磊教授が横浜国大および各大学の経費により来日して参加しました。

 さらに、日本学術振興会の招へいプログラムにより菊本准教授研究室に来日中であったDavid Muir Wood教授(横浜国大招へい教授、英国Dundee大学教授、Glasgow大学・Bristol大学名誉教授)の協力を得ました。

 参加者は全員、英語による意思疎通がとれることが前提条件でした。また、崔瑛准教授は中国語、協力者の大学院生の1名はタイ語、海外からの引率教員のうち2名は日本語も堪能であり、不測の事態が発生した際にも複数言語でのコミュニケーションがとれる万全の体制で開催しました。

<参加者の来日と交流>

 全ての参加者は9月25日に来日し、横浜市内のホテルに宿泊しました。翌9月26日の午前中には横浜国立大学メディアホールにて開始式とオリエンテーションを行い、菊本准教授から本事業の経緯や狙いについて説明しました。また、同日夕方には同大学カフェテリアにてウェルカムセレモニーを開催し、参加者の親睦を深めた。各大学の参加者からは一人ずつ挨拶があり、大学院生からは自身の研究テーマや将来の希望について簡単に説明が行われました。

<地盤力学の集中講義>

 9月26日〜28日の3日間はDavid Muir Wood教授と菊本准教授により地盤材料の応答と最新の地盤力学に関する集中講義を開講しました。この集中講義には、本事業の参加者に加えて横浜国立大学、東京大学、東京工業大学、筑波大学、埼玉大学、早稲田大学他からも参加者がありました。初日は集中講義の内容とねらいを説明するとともに、地盤材料の様々な応答について解説が行われました。また、弾性論の基礎から応用(亜弾性、超弾性、非線形弾性、異方弾性)についても詳しく説明が行われ、パソコンを用いて弾性論に関する演習も行いました。

 参加者は中空ねじりせん断試験における異方弾性体の非共軸性について理解を深めました。2日目は弾塑性論の基礎と弾完全塑性モデル(モールクーロン型モデル)、硬化型モデル(モールクーロン型モデルの拡張版やカムクレイモデル)について解説が行われるとともに、実際の地盤材料の室内試験結果を用いた計算演習が行われました。

 3日目はマクロエレメントモデルについて説明が行われた後、最新の地盤材料の弾塑性論としてセヴァーン・トレントモデルや構造特性と損傷のモデル化、移動硬化則による繰返し載荷のモデル化、粒子破砕のモデル化、限界状態論(カムクレイモデル)について説明が行われました。集中講義は下記のスケジュールで開催された。講義内容は最新の力学理論を含みつつ、非常にコンプレヘンシブであるとのことで、参加者から非常に高い評判を得ました。

写真2
集中講義最終日(9/28)に撮影した集合写真

<建設現場と岩石採掘場の見学>

 3日間の集中講義を終えた翌日の9月29日から10月1日にかけては、2泊3日のテクニカルツアーを開催しました。9月29日の午前中は横浜環状北西線の建設現場を見学しました。まず工事事務所について建設事業の概要と採用された工法の特徴などについて説明が行われ、参加者から地盤物性や各種工法の採用理由、海外との建設技術の違いについて活発に質問が出されました。その後、全員でシールドトンネルの現場見学を行いました。 同日午後は、宇都宮市に移動して大谷資料館を見学しました。同資料館では、案内者から大谷石の大規模地下空洞の経緯や現状について解説があり、構造化した軟岩を見学しました。また、軟岩の力学特性について菊本准教授から説明が行われました。

 翌9月30日は、大谷石産業を訪問し、地下50mの深さにある地下採石場の見学を行いました。見学会では大谷石の採取方法について解説が行われ、実際に石を切り、採り出す様子を見学しました。

 テクニカルツアー3日目の10月1日は地盤の解析技術に関して意見交換会が開催されるとともに、テクニカルツアーの総括・講評を行いました。また、本事業の修了式が行われ、参加者に修了証が授与されるとともに、アンケート調査が行われました。

写真3
テクニカルツアー初日、横浜環状北西線・シールドトンネルの現場見学の様子

平成29年度 活動報告