2017年度 活動レポート 第29号:富山大学大学院理工学研究部

2017年度活動レポート(一般公募コース)第29号

高エネルギー効率社会の基盤材料に関する先端研究と先進技術を学ぶ

富山大学大学院理工学研究部からの報告

平成29年7月12日(水)から7月21日(金)、富山大学大学院理工学研究部(材料機能工学専攻)では、山東大学(中国)、チェンマイ大学(タイ)、ハノイ工科大学(ベトナム)
の3ヶ国の大学から材料系大学院に在籍する学生9名(各大学3名)
と引率教員3名(各大学1名)
を受け入れ、さくらサイエンスプログラムによる交流を実施しました。

平成28年10月に本事業で山東大学とチェンマイ大学から同時に学生を招へいした際、本学の大学院生を交えて活発な国際交流を実施し、参加者から大変高い評価を得ました。今回は更にベトナムの大学院生も招へいしました。

これらの国々では近年、日系企業の進出が目覚ましく、製造技術を中心として金属素材、機械、電気、情報系の産業が大きく展開されています。これに伴い、国内大学はもちろん、富山県内企業においては、研修生の受け入れに加えて、工学・理学、経済、人文の分野において本学で修学した学生の採用に関する問合せも増加しています。

本事業では交流を大きく発展させて、定常的に大学院生が交流する体制を構築し、東南アジア地域の若者を国際的に活躍する高度技術者に育成することを目的としました。そのため、プログラムの講義では、本専攻で培ってきた、電子顕微鏡によるナノ技術を駆使したアルミ合金組織研究法を講義・演習しました。

また、自動車メーカーと共同研究を行っている鋳造技術は、もの作りの基本であり、プログラムの初めに体験学習を行いました。さらに、産学連携で培った富山地域産業の優れたアルミ産業技術を学習するために、地域企業2社を見学・実習を行いました。

プログラムの最後には、本専攻の大学院生とグループワークで「もの作り競技会」と研究発表会を行い、参加学生の本学への留学の関心を高めるとともに、本学の日本人学生にも、貴重な国際交流の機会を提供しました。

1日目

夜の到着となったため、宿泊のホテルへ移動のみとなりました。2日目、宿泊したホテルから富山大学工学部までは、路面電車と徒歩で約30分の道のりを移動し、初めにオリエンテーションと学長訪問を行いました。

写真1
学長訪問の様子

午後には、軽金属(アルミニウム合金、マグネシウム合金)の製造・鋳造に関する講義を行い、アルミニウム合金の鋳造実習を行いました。夜には、工学部長、材料機能工学専攻の教職員・大学院生、本学国際部職員とプログラム参加者とで歓迎会を行いました。

写真2
製造・鋳造に関する講義風景

3日目

地域のアルミニウム製造企業の見学として三協立山(株)を訪問しました。プログラム参加者には、軽金属の鋳造を研究している大学院生がおり、企業技術者と専門的な議論が活発に行われました。午後には高岡地場産業センターで鋳造実習行い、錫の杯を作製しました。

写真3
三協立山株式会社にて
写真4
錫の鋳造実習風景

4日目

北陸の歴史と文化を学ぶ目的で、富山県南砺市の相倉合掌造り集落と石川県金沢市の兼六園・金沢城を見学しました。

5日目・6日目

アルミニウム合金の熱処理・組織観察に関する講義・演習・発表を行いました。

写真5
電子顕微鏡演習風景
写真6
課題発表風景

7日目

午前中に軽金属合金の腐食・防食、リサイクルに関する講義・実習を行い、午後に軽金属合金の溶接に関する講義・演習を行いました。

8日目

地域企業見学2としてYKKAP(株)およびYKK(株)を見学しました。また、ファスナー製作の体験実習を行いました。

写真7
YKK株式会社にて
写真8
ファスナー作製風景

9日目

プログラム参加学生と本学の材料機能工学専攻学生の混成5チームによる「アルミニウムを利用した工作実習コンテスト」を実施しました。テーマは、“ビルの4階から落下させる生卵を保護する器具をクッキングフォイルで作製すること”。

写真9
保護器具を作製している様子

コンテストの後に、プログラム参加学生と本専攻学生による討論会と修了証授与式、そして送別会を行いました。

写真10
修了式の様子

この交流を通して、4ヶ国の大学の大学院生の交流が活発に行われました。アンケート結果は、全員が今回の日本訪問について” Very satisfied”と回答しました。