2016年度 活動レポート 第241号:島根大学総合理工学研究科

2016年度活動レポート(一般公募コース)第241号

鉄鋼材料の結晶学的微細組織分析の共同研究プログラム

島根大学総合理工学研究科 大庭卓也さんからの報告

さくらサイエンス共同研究活動コースを利用して、7月3日~23日まで島根大学総合理工学研究科において、金属の結晶学的な情報を得て研究をすすめるため、ハノイ工科大学とベトナム海事大学からTran Thi Xuanさん、Nguyen Duong Namさんが来日し、電子顕微鏡やX線装置による測定のための試料の下準備、測定、解析までを経験しました。

初日、ハノイから仁川経由で米子に到着し、ホテルへのチェックインを行い、旅の疲れをとってもらいました。

翌日、朝9時に大学へ来て、まず研究室のツアー、実験装置などの説明を行い、午後一番に事務的手続きなどを終了しました。午後は、研究計画を話してもらい、夕方は小さな歓迎会を行いました。

当研究室では金属、鉄鋼材料の結晶学的な研究を行っており、その強みを生かして研究指導を行ったもので、3週間フルに利用しての滞在でした。

共同研究活動コースを利用しての来日で、事前に試料について連絡を行っていたため、Xuanさん、Namさんたちは測定したい試料を持参しました。必ずしも英語によるコミュニケーションに慣れていない両氏でしたが、研究室には当研究室で学位をとり、研究者となっているベトナムからの研究者も在職し、サポート体制は万全でした。

試料観察のための下準備、装置の使い方、分析、解析の行い方を学び、準備してきた試料のX線による測定と走査電子顕微鏡(SEM/EBSD)による測定を、ほとんど寸暇を惜しむかのように行いましたが、必ずしも十分な時間ではありませんでした。

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X線装置による測定中、それぞれ目的に沿うような測定を異なる装置で行いました
X線装置による測定中、それぞれ目的に沿うような測定を異なる装置で行いました

試料作製法の違いによる鉄鋼材料のX線による残留応力測定や、期待していたものができているかを調べ、本国ではなかなか測定できない測定を行うことができ、一定の成果を得たものと思われます。

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試料の調整中の様子
写真4
試料の調整中の様子

しかし、実験に費やす時間が多く、測定結果に対するディスカッションの時間などが十分ではありませんでした。このために時間にもっと余裕があると良かったと思っています。

滞在の中日に頃の12日には、研究室の他のスタッフや4年生、大学院生たちも含めた歓迎会を行い、若手との交流も行うことができました。

休日には、島根県に根付く出雲神話の国譲りで有名な出雲大社に出かけ、山陰の地形を感じることのできる日御碕に出かけ、日本の文化や風土にも触れる機会も持つことができました。

写真5
出雲大社で記念撮影

この小旅行では、日常の日本の生活習慣なども感じるよい機会になったと思われます。1人は、和食にあまり興味を持っていないようでしたが、食も文化であるので、夕食はあえて和食風の食事をしました。結果、それなりに興味を持ってくれたようで、よかったと思います。

写真6
日御碕で記念撮影

帰国後、更なる研究の可能性についての問い合わせなど、情報交換が行われています。