2016年度 活動レポート 第203号:産業技術総合研究所

2016年度活動レポート(一般公募コース)第203号

バイオマス資源を付加価値の高い材料にするための共同研究

産業技術総合研究所 安藤尚功さんからの報告

産業技術総合研究所(産総研)では、さくらサイエンスプログラムの支援を受け、2016年10月23日から同11月12日まで、タイ王国ラジャマンガラ工科大学工学部の大学院生(修士2年)を招へいしました。

今回の交流事業は、タイにある豊富なバイオマス資源を、日本の技術を使って付加価値の高い材料にするための共同研究です。

招へい者は、産総研での業務に必要な各種研修をe-ラーニングシステムにより受講し、受け入れ担当者から研究概要および実験について説明を受けました。

研究概要説明を受ける。

今回、招へい者を受け入れた研究グループでは、有機化合物を使った新しい電池材料の開発を行っており、招へい者もバイオマスを使った電池材料の開発に取り組みました。

具体的な実験操作などについては、当グループに技術研修生として派遣されている大学4年生および大学院生が親身になってサポートし、安全且つ効率よく実験が進められました。

今回の実験は、有機合成化学、電気化学、機器分析化学に関する操作が中心で、招へい者がタイで行っていた高分子材料の研究とは、作業内容が大きく違うようでした。招へい者は、目新しい実験器具や装置に悪戦苦闘しながらも、一生懸命実験に取り組んでいました。

実験手順の説明を受ける。
合成実験に取り組む。

週末、招へい者は、木々が色付いた街並みを散策したり、近くの博物館やショッピングセンターに出かけるなど、日本の気候や文化を肌で感じていました。

食については特に積極的で、「焼き鳥」や「日本酒」に初めてチャレンジした他、「寿司」「たこ焼き」「日本のタイ料理」などを存分に満喫していました(クォリティと値段の高さに驚いていた!)。

帰国の前日には、グループメンバー全員を前にした成果発表会が開催され、活発な議論が交わされました。発表会終了後、同じ会場で修了式を執り行い、グループリーダーから修了証とバッジが授与されました。

修了証を手にグループメンバーと(右から3人目)。

今回の交流事業は、受け入れ側のわれわれにとっても大変刺激的でした。お互いに言葉の壁はあったものの、生身の人間と膝を交えて話すことの大切さを改めて感じました。

この事業をきっかけとして、日本とタイの研究交流がより活発になることを願っています。最後に、われわれにこのような機会を与えて下さった、さくらサイエンスプログラム、ならびに関係者の皆さまに心より御礼申し上げます。

ドライチャンバーを使っての作業
歓迎会