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活動報告(一般公募コース) 第128号

機械工学の先端に触れ、日中学生が共に学び合うプログラム

東京理科大学理工学部 川口靖夫教授からの報告

 さくらサイエンスプランにより、中国・西安交通大学の各学部から選り抜かれた学生10名・教員1名を迎えて、10日間(11/20~11/29)のプログラムを実施しました。


来日した西安交通大学の学生達10名と教員1名,理科大野田キャンパス正門にて

 学生達の専門分野に応じて、5つの研究室に2名ずつを配属して、流体実験、流体シミュレーション、材料シミュレーション、電気回路製作とスマートフォンからの制御、モーションキャプチャ技術といった、機械工学の先端分野の課題に取り組んでもらいました。


研究室でのインターンシップ,流体シミュレーション

研究室でのインターンシップ,モーションキャプチャ

 実験室では指導教員から丁寧な課題説明を受け、院生との共同作業をし、まとめのプレゼンテーションを行い、充実した日々を過ごしました。東京理科大学での教育・研究環境を体験し、また日本人の学生・院生と触れあえる機会になりました。また日本側の教員と深く話し合うこともできたようです。

 学生達からは「M先生は良い先生で尊敬できる先輩です。Raspberry Pi2、 Python、 PWMといった役に立つ多くのことを教えてくれました。さらに先生は経験を語ってくれ、私は将来選択に直面した時に、より正しく判断するための、役に立つ人生経験を得ました」「研究室の友好的な学生から多くの助けを受けました」「指導にあたってくれた学生さんは、忍耐強く真面目に対応してくれました。大学生として持つべき特質であると思います」といった感想が聞かれました。

 11月28日には理科大野田キャンパスにある光触媒国際研究センターを見学し、センター長でもある東京理科大学学長藤嶋昭先生と会見しました。藤嶋学長からは、年々研究が盛んとなっている光触媒の歴史や先端技術を題材とする「How to Enjoy Science」のレクチャーを受けました。学生らはダイナミックに進む科学や研究の醍醐味を味わうことができました。


インターンシップの成果と体験を数十人の理科大学生の前で発表しました

国際化推進センター長から一人一人にさくらサイエンスプラン修了証が渡されました

 このプログラムでは、先端科学技術を体験するのみならず、日本語、日本文化や日中交流の歴史について学ぶ機会を設けています。

 21日午後には師範の先生から弓道の手ほどきをうけ、弓道部の学生との交流も行いました。


弓道部の手助けを受けて弓道体験

 25日には日中交流史の講義を企画しました。西安交通大学の皆さんは日中交流史(古代、近世)について熱心に聴講していました。様々な文化的共通点もありながら、歴史の流れの中で両国が置かれている状況の違いにも、関心が向いた様子でした。

 中国と共通する精神や文化もあれば、日本で独自の発達をとげた精神や文化もあります。午後には日本の伝統的な弦楽器である三味線に触れて、日本文化の奥深さと美しさを肌で感じとりました。


三味線の演奏に感銘を受けた様子です.少し弾かせてもらいました

 また26日午後には、茶道部の協力による茶道体験を企画しました。和敬清寂・一期一会といった理念を形に表すものとして、清浄な部屋で心静かに客人にお茶を差し上げ、調和の中で敬意を交わす精神(Tea Ceremony)と総合的な美に、感銘を受けていたようです。


茶道部の協力で茶の湯を体験しました

 参加した学生達が感想文を書いてくれました。感想文の一部を抜粋してお届けします。

  • この短いプログラムの中で自分の目で見たことに本当に驚きました。私は日本の文化や社会、科学について知っているつもりでしたが、ここは私が新聞や教科書で学んできたものとは全く違う国でした。他国を理解するには人からの言葉ではなく、自分で経験することが何より大事であることを学びました。私はここに立ち会い、見て、経験してきたことを周りの人に話したり、書いたりして知らせたいと強く思っています。
  • 日本での発見の中で、最も強く包括的なものは「美」でした。私は日本の科学の中に、日本の生活(茶道や芸道)の中に、日本人の基層にある信仰(無常や輪廻)や日本人一人一人の行動の中にもそれぞれ美を見出しました。私はこのように美を求めようとする民族の精神に大変感銘を受けました。これは日本以外のどこにも見出せないものです。
  • 日本人が昔から他国の優れた文化を受け入れる意欲を持っていること、その結果日本で古い中国の影響まで見てとれることに私は尊敬を払い、うらやましく思います。先生の講義から、日本では市井の人にも儒学が受け入れられて数百年を経過し、このことが識字率を上げ、多文化的な視野が準備され、その結果西洋の先進的な考えや技術を容易に受け入れられる下地となったことを知りました。
  • 私は日本での経験、とりわけ技術と人間生活を結び付ける精神をもとに、中国に自分なりの貢献をしたいと考えています。小さくても中国の日常生活に常にある問題を解決できる製品を作りたい。日本は伝統的な東洋世界の文化との西洋世界の科学技術との橋渡しをしています。日本では、現代的な生活と伝統文化との両方を経験できる貴重な機会を得ました。
  • 国や文化、言葉は違うけれど、私達はこの世界に生きている人間です。私達は同じように感じ、友好の気持ちも同じです。平和を求める気持ちも同じです。このプログラムは私に本当に深い印象を与えました。私達を援助してくれた全ての人達にお礼を言いたいです。

お別れのパーティー.また会いましょう

平成28年度 活動報告