2016年度 活動レポート 第123号:静岡大学

2016年度活動レポート(一般公募コース)第123号

核融合炉開発のための水素同位体測定技術を学ぶ

静岡大学からの報告

さくらサイエンスプログラムの支援を受け、中華人民共和国等離子体物理研究所、および西南物理研究院から、教員および学生計11名を招へいし、12月8日から17日まで「核融合炉開発のための水素同位体測定技術」をテーマに研修及び研究交流を行いました。

塩尻静岡大学理学部長、加藤・坂本両副学部長との集合写真

研修内容は、将来のエネルギー源としての核融合炉開発の重要性を理解するとともに、核融合炉の燃料として用いられる水素同位体の測定技術について学習することでした。

また、参加学生が持参した試料を用いて水素の測定を実際に体験し、水素挙動を理解する上で必要となる、物理定数の評価手法について学習しました。

XPS装置を前に中国から持参した試料を分析する受講生
XPSの講義を受ける受講生

静岡大学の研修では、昇温脱離法を用いた材料中の水素滞留量評価、X線光電子分光法を用いた化学状態評価、水素透過装置を用いた水素拡散定数、透過率評価法、電子スピン分光法を用いた照射欠陥評価法について、講義と実験を組み合わせて学習しました。

さらに、本学と連携協定を締結している核融合科学研究所、および富山大学研究推進機構水素同位体科学研究センターを訪問し、大型ヘリカル装置による水素プラズマ制御技術や、水素の放射性物質であるトリチウム取扱技術についても学習しました。

研究単元ごとにレポートを提出していただき、受講生の理解度を確認し、全ての受講生がプログラム内容の理解を深めるように配慮しました。

静岡大学の研修では、講義と実習を交えることにより、将来の受講生の研究に役立てられることができるようにしました。受講生みんなが、ぜひ次回は自分の試料を持って再来日したいと話してくれました。

核融合科学研究所ではちょうど重水素実験が始まる直前で、大型ヘリカル装置を間近に見ることができました。またコンピューターが整然と並ぶ制御室を見学してみんなとても感激していました。

核融合科学研究所大型ヘリカル装置の前での集合写真

富山大学では、日本で最大量のトリチウムを取り扱える施設だけに、受講生みんなが食い入るように施設の安全設備やトリチウム測定装置を見入っていました。

大雪の富山市で富山大学に向かう市内電車を待つ
富山大学でトリチウム測定装置について学ぶ受講生

幸運なことに、富山では訪問日にちょうど大雪になり、普段あまり雪を見る機会がない受講生は「Wonderful」とか「Beautiful」と感激していました。滞在期間中に晴天、降雨、強風、雪と日本の様々な天気も体験でき、とても有意義な研修となりました。ぜひ、みなさんの再来日を実施協力教員一同心からお待ちしています!

日本科学未来館見学前に核融合エンジンで動く(と想定されている)ガンダムを前に!