2016年度 活動レポート 第48号:東京大学大学院工学研究科

2016年度活動レポート(一般公募コース)第48号

世界をリードする日本の地盤工学を紹介

東京大学大学院工学研究科からの報告

さくらサイエンスプログラムの科学技術体験コースとして、「最先端の地盤工学研究に触れよう -地盤災害の軽減を目指して-」と題したテーマのもとで、中国・山東大学の土木工学院より5名の大学院生および5名の大学生と引率教員1名の計11名が、2016年9月19日から9月26日までの8日間にわたり来日しました。

到着翌日にバスで春日部市にある首都圏外郭放水路施設を見学し、降雨災害の軽減のための現在の取り組みを実地で学びました。国道16号の地下約50メートルに建設された全長6.3キロメートルの地下放水路で記念撮影することができました。そして夕方には東京大学で懇親会を実施しました。

首都圏外郭放水路の見学

3日目の午前中にオリエンテーションと東京大学の紹介を行い、午後には特別講義を実施し、本交流計画で学ぶ内容がどのような背景と意義を有するのかについて理解を深めたうえで、参加者が互いの研究概要をゼミ形式で発表し、意見交換を行う交流活動を開始しました。

東京大学の紹介

ゼミ形式の交流活動を、5日目まで計3日間継続しました。あわせて、土質地盤研究室の実験室を案内し、多層リングせん断試験装置など、各種の室内土質試験装置について説明しました。また、AE計測を併用した三軸圧縮試験や液状化地盤模型振動実験など、地盤災害の軽減を目指した多様な実験的研究の実施状況も紹介することができました。

ゼミ形式での発表
AE計測を併用した三軸圧縮試験の実施状況の見学
液状化地盤模型振動実験の実施現場の見学

6日目は、日本科学未来館を見学し、日本の科学技術全般について広く理解してもらいました。帰国前日の7日目は日曜日でしたので、上野公園と東京国立博物館の訪問により、週末の都内の混雑状況を実体験し、さらに日本の歴史と文化についての理解を深めました。

日本科学未来館の見学
東京国立博物館の見学

本交流活動のテーマである「最先端の地盤工学研究」は、日本が世界をリードしている科学技術分野の1つです。特に、地震や豪雨が多い日本では、これらが引き起こす液状化・斜面崩壊などの地盤災害を予測する技術と、これらの災害を軽減するための対策技術の開発が進んでいるため、本交流ではその関連技術に焦点を絞ることとして、サブテーマとしても「地盤災害の軽減」を掲げました。

計画については、特別講義と現地見学および室内土質試験・地盤模型実験の見学を組み合わせることで、最先端の地盤工学研究を体験し、特に地盤災害の軽減を目指した関連研究の実情と実務における取組みについて集中的に関心を深め、理解を広げられるように工夫しました。
東京大学工学部1号館の前で