2016年度 活動レポート 第28号:東京都市大学

2016年度活動レポート(一般公募コース)第28号

マレーシアの工科系大学生が課題解決型学習に取り組む

東京都市大学からの報告

マレーシア工科大学マレーシア日本国際工科院(MJIIT)の学部生10名が、東京都市大学世田谷キャンパスで「課題発見能力も含めたエンジニアリングデザイン能力の開発」をテーマに課題解決型学習に取り組みました。

MJIITとは2014年以来、3年連続のさくらサイエンスプログラムによる交流で、本年は「科学技術体験コース」で平成28年7月31日〜8月9日の10日間を本学で主に課題解決に取り組んでもらいました。

本学の工学部・知識工学部では過去2年間もさくらサイエンスプログラムにより、多くの実績を残してきていますが、その特徴は、招聘学生が希望する研究室で本学の大学院生の支援を得ながら課題解決に望むところにあります。

本学は工科系単科大学の時代が長く、その伝統をくむ工学部・知識工学部では研究室活動のアクティビティが高く、海外の学生には新鮮な環境を提供できるものです。

今回は工学部・機械工学科(1研究室)、機械システム工学科(1研究室)、電気電子工学科(3研究室)、エネルギー化学科(3教室)の4学科8研究室の協力を得て本プログラムを実施しました。

主な研究室で実施された、課題解決型学習を紹介します。

機械工学科(内燃機関工学研究室:三原雄司教授)

乗用車用ガソリンエンジンの性能実験を行い、取得した出力・トルク・燃費のデータをまとめて最終報告を行いました。実験ではエンジンの構造や試験装置および性能を計測する機器やエンジンの操作・評価方法を学び、実験後は取得したデータを基にエンジンの性能および各種損失の低減についてまとめました。研究室にある最先端のエンジン性能評価装置に関しても高い興味を持ち、意欲的に質問していました。

機械システム工学科(宇宙システム研究室:宮坂明宏教授、渡邉力夫准教授)

宇宙用展開構造物(アンテナや太陽電池パドル)の設計概念を学ぶ一例として、シザーズによる展開構造物の設計をPBLとして実施しました。まず、シザーズを用いて収納・展開が可能となる構造物の構成や部品寸法を決定し、部品類についてCADを用いて製図しました。その後、3Dプリンタを用いて部品を製作、組み立てを行い、動きを確認しました。さらに展開解析ソフトによって展開挙動を確認し、構造設計の一連の流れを体験してもらいました。

電気電子工学科(電気機器(モータドライブ):百目鬼英雄教授)

システム制御に興味があるとのことでしたので、メカトロニクス制御の実習としてLabVewを使用した実験キットによる実験を行いました。はじめにパワーエレクトロニクスの基礎であるPWMパルスによる電力の制御法を学習し、模型用サーボモータの制御プログラムを製作し、位置決め制御実験を行いました。

エネルギー化学科(環境化学工学(触媒・資源プロセス)、動的解析化学、高分子・バイオ化学(機能性バイオ分子):黒岩崇准教授、江場宏美准教授、高津淑人准教授)

環境調和型エネルギー製造に関わる化学反応プロセス、反応工学、機器分析について実習を行いました。ケミカル・ プロセス・エンジニアリングを専攻する5名の学生が参加し、バイオ燃料の合成や廃棄物からの水素発生など、専門的な実験と機器の操作を通して、環境・エネルギー問題に貢献する化学技術について学習しました。

研究室での活動風景
研究室での活動風景

研究室での活動風景
研究室での活動風景

8月8日の14時から成果発表会が行われました。発表会は3時間を超える充実したものとなり、学生を指導した機械工学科の三原教授、機械システム工学科の宮坂教授、渡邉准教授、電気電子工学科の中川教授、エネルギー化学科の黒岩准教授、江場准教授、高津准教授も成果発表会に出席し、学生の努力を称えました。 発表会終了後、地球環境問題担当大使(前駐マレーシア日本大使)である堀江正彦氏も出席されて修了式が行われ、三木学長より各々の招聘学生へ修了証が授与されました。

修了式の終了後

MJIITとの交流プログラムは、本年も成功裡に終了しました。このさくらサイエンスプログラムが発展して、9月下旬には、本学の10名の学生がマレーシアのMJIITに派遣され、MJIITの学生と共同で課題解決型学習に取り組むことになっています。さくらサイエンスプログラムが両校の交流関係を深める大きな役割を果たしています。

集合写真