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活動報告(特別寄稿) 第15号

友情を深め結びつきを強めた交流
タイでトップの科学高校生徒との友情と感激
田中 博

【執筆者プロフィール】

[氏名]:
田中 博
[所属・役職]:
学校法人立命館一貫教育部長

プログラム
1日目 到着 立命館高校訪問、オリエンテーション
2日目 Science Workshop「振動の伝搬から地層の構造を読み解く」(立命館大学)
3日目 京都大学総合博物館見学 京都文化体験
4日目 Science Workshop「地球と環境を守る小さな生き物の力を知る」(立命館大学)
5日目 (株)ユーシン精機訪問 京都水族館見学
6日目 東京へ移動 国立天文台訪問
7日目 日本科学未来館見学 講義「サリドマイド催奇性」「シロアリ」と研究室見学(東京工業大学)
8日目 「脳」についての講義(立命館大学東京C) 帰国

タイ高校生たちの感想文

「これまで日本で勉強したいと思っていましたが、そのための情報をどうやって収集すればいいのかや、日本での生活にも不安がたくさんありました。このプログラムでの体験はそのような心配を一掃してくれました。日本で学びたいという思いが一層強まりました」

「このプログラムに参加できてとても光栄でした。研究室見学でアカデミックな知識を得ることができ、また日本文化を知ることもできました。このプログラムに参加することで自分の将来に大きなインパクトがありました。また日本にたくさんの友人ができ、必ず日本に戻ってきたいです」
 さくらサイエンスプランで来日したタイ生徒の感想(日本語訳)です。

環境システムなどを学ぶ

 2015年7月24日~31日、タイでトップの科学高校Mahidol Wittayanusorn School(MWITS)から10名の生徒を立命館高等学校で受け入れ、日本の高校生とともに、日本の高度な科学・技術に触れる経験を通して、科学分野での広い視野を養い、同時に日本ヘの理解を深めることを目的に、科学研修を実施しました。

 前半(7月24日~28日)は立命館大学びわこ・くさつキャンパスで立命館高校、立命館宇治高校、立命館慶祥高校の生徒とともに宿泊し、科学ワークショップや京都での文化体験を行いました。

 科学ワークショップとして、立命館大学で2つの取り組みを行っていただきました。「振動の伝搬から地層の構造を読み解く」では、立命館大学理工学部物理科学科の川方裕則教授の指導のもと、講義、実験、分析、発表という流れで1日をかけての取り組みでした。川方先生が自ら製作いただいたプラスチック箱の中に作った模擬地層に振動を与えて地層の境目を調べることに取り組みました。

 「地球と環境を守る小さな生き物の力を知る」では、立命館大学理工学部環境システム工学科の中島淳教授、樋口能士教授の指導のもと、活性汚泥を使って水を浄化する学習を行いました。講義では、学生とともに活動されている海外プロジェクト等が紹介され、実習では、砂糖、牛乳、オレンジジュース、米の磨ぎ汁、トムヤムスープの浄化を行い、そのデータを分析しました。

 プラスチック成形機械や半導体製作機械等の製作しておられるグローバル企業、株式会社ユーシン精機を訪問させていただき、ユーシン精機の開発された技術等についての説明を受けました。一つのプラスチック製品を成形するのに、0.1秒短縮することでどれほど製作コストが下がるのか等の説明を受け、高い技術がそれを可能にしていることを知る機会になりました。

 その他、京都大学総合博物館や京都水族館での見学や、清水寺付近で京都文化も味わいました。

東京に移動して研修

 後半(7月29日~31日)は立命館高校、筑波大学附属駒場高校の生徒とともに、東京にて科学研修を行いました。
 国立天文台では、臼田功美子先生から国立天文台についての説明を受け、ハワイで運用している「すばる天文台」が世界最先端の技術を誇る天体望遠鏡であり、多くの功績をあげている興味深いお話を聴かせていただきました。

 東京工業大学を訪れて、大学見学と講義受講、そして研究室の見学を行わせていただきました。2006年、MWITSから初めての交換交流で立命館を訪れてくれた生徒の一人が、MWITS卒業後、東京工業大学で学び、現在はタイで研究者として活躍しています。彼女の恩師を紹介してもらい、この訪問が実現しました。

 スーパーコンピューターTSUBAMEの見学や、生命理工学研究科生命情報専攻の山口雄輝教授からは「サリドマイド催奇性」、生体システム専攻の本郷裕一教授からは「シロアリ」の講義を行っていただきました。講義の後で、見学させていただいた本郷研究室では、講義に出てきたシロアリとその腸内の原生生物を実際に見せてもらうことができました。

 立命館大学東京キャンパスにて、自然科学研究機構 特任教授 小泉周先生を招き、「脳」についての講義を行っていただきました。講義では、網膜の機能やその信号を脳がどのように認識するかをお話しいただき、信じられないような錯視をいくつも見せていただく驚きの体験により「脳」の不思議さを感じました。
 これらの体験を通して、MWITSの生徒達は、日本の優れた科学・技術に触れ、大きな刺激を受けるとともに、日本の高校生と友情を深め、将来につながる強い結びつきを形成してくれました。

 また、日本の生徒にとっても、優秀なMWITS生徒に触れることは大きな刺激であり、素晴らしい経験を得ることができました。貴重な機会をいただけたことに心より感謝していますとともに、このプログラムへ参加した高校生達が、今回の経験を活かして世界へ羽ばたいてほしいと願っています。

活動報告