2015年度 活動レポート 第266号:九州工業大学

2015年度活動レポート(一般公募コース)第266号

日本の医工・歯工連携、環境・ものづくりを台湾の大学院生が体験
九州工業大学からの報告

JSTの「さくらサイエンスプログラム」の支援を受け、2015 年11 月15 日から11 月22 日までの日程で、国立台湾大学の大学院生10 名と教授1 名を招聘し、日台交流プログラムを実施しました。

本プログラムは、台湾のトップ大学である国立台湾大学の生命科学分野の大学院生に九州工業大学のバイオマイクロセンシング技術研究センター及び医工・歯工の連携大学を合せて紹介する、と同時に環境・ものづくりの先進都市である北九州の環境事業や国際的先進技術企業の工場・施設見学による日本の技術紹介を通じて日本への関心を醸成し、将来我が国との間でアジアの発展に貢献する研究活動を行おうとする意欲や関心を生み出すきっかけを作る目的で行われました。

<1 日目:到着>

日本に無事到着しました。本プログラムの費用が日本の税金から支援されていることを知って台湾から航空運賃の比較的安い韓国経由で来日してくれました。

<2 日目>

午前中にオリエンテーションを行い、プログラムの趣旨や目的等を再確認し、滞在中の安全確保、体調管理、保険等についての説明を行いました。

午後は、本学のバイオマイクロセンシング技術研究センターを訪問し、本学の竹中センター長、准教授、そして大学院生が研究室の取り組み、研究内容、それと研究実績である半導体技術とバイオテクノロジーと融合させることによって開発した次世代型バイオチップの紹介等を行いました。台湾大学院生も積極的に質問をして活発な議論が生まれました。

2日目 バイオマイクロセンシング研究室訪問
2日目 バイオマイクロセンシング研究室訪問

<3 日目>

本学と医工・歯工連携の取り組みの紹介および連携大学への訪問を行いました。産業医科大学病院では本学との連携の紹介がありました。九州歯科大学では西原学長による大学紹介の後、3 名の医師や博士がそれぞれの研究を発表し、参加学生より様々な高度で専門的な質問が飛び交い、お互いに新しい研究視点を発見できた1 日となりました。

特に台湾大学院生にとっては彼らの専門である生体科学(バイオロジー)と九州工業大学の専門分野である工学(エンジニアリング)の技術連携による医工・歯工研究開発という分野に非常に感銘を受けていました。

3日目:産業医科大学病院を訪問
3日目:産業医科大学病院を訪問
3日目:九州歯科大を訪問
3日目:九州歯科大を訪問

<4 日目>日台合同学生シンポジウム

本学の大学院生と台湾大学院生による日台合同シンポジウムを行いました。この日のために両大学院生は自分の研究内容や研究成果の要旨をまとめ英語で発表資料を作成しました。

台湾大学院生は来日前と前日の夜には各自リハーサルも行ったそうです。非常にレベルの高い学会レベルの発表が行われ、日台の学生がお互いに質疑応答を行い活発なシンポジウムとなりました。本学の学生にとっても台湾トップ大学院生の前で英語でのプレゼンテーションや質問への応答を行い、大変貴重な体験をすることができました。

4日目:合同シンポジウム 発表
4日目:合同シンポジウム 発表
4日目:合同シンポジウム 終了後の日台参加メンバー写真
4日目:合同シンポジウム 終了後の日台参加メンバー写真

<5 日目>環境施設見学及び工場見学

北九州が世界に誇る水環境技術を見ることができる北九州日明浄化センターとウォータープラザを見学しました。日本の有数の最先端企業が結集し構築した最新の水処理技術施設、海淡・下水再利用統合システム等の見学を行いました。省エネ・低コスト・低環境負荷をテーマにし、いかに持続可能な水環境システムが持続可能な社会にとって必要な技術であるかを学びました。

午後はアサヒビール福岡工場を見学し、省エネ、低エミッション、安全安心清潔な生産工程・生産技術を学びました。どちらも生物の力を利用する最先端技術を駆使して省エネ・低環境負荷のシステムを構築しており、生命科学分野を研究している台湾大学院生にとってもこのように実社会で最先端の技術に応用開発されている事例を目の前で見ることができ、益々日本の科学技術に大きな感銘を受けていました。

5日目:北九州浄化センター
5日目:北九州浄化センター

<6 日目>フィールドトリップ・日台学生協働ワークショップ

協働ワークショップでは、「持続可能な社会」をテーマに、北九州にあるユネスコ世界産業遺産などの展示をしているイノベーションギャラリーを訪れ、北九州が日本の近代化に果した役割を学び、その後持続可能性の観点から日本の近代化を読み解くグループディスカッションを行いました。日台参加学生たちは、1 日の活動を通して、持続可能な社会に必要な様々な要素について理解を深めました。これからのグローバル社会を担っていく人間として持続可能な社会構築に貢献して行く意識・意欲が高まったようでした。

6日目:ユネスコ世界産業遺産 官営八幡製鐵所の関連施設
6日目:ユネスコ世界産業遺産 官営八幡製鐵所の関連施設
6日目:世界遺産見学後の協働ワークショップ
6日目:世界遺産見学後の協働ワークショップ

<7 日目>成果発表会、修了書授与式、送別交流会

台湾大学院生10 名及び教授1 名が本プログラムの成果発表を行い、修了書とバッジ授与式が行われました。 11 名全員がこのさくらサイエンスプログラムで訪日ができ、本プログラムに参加できたことに大変感謝しておりました。本学の教職員や学生とも今後協力・連携していくことが確認されました。

7日目:成果発表会後の修了証授与式
7日目:成果発表会後の修了証授与式
7日目:成果発表会、修了書授与式後のグループ写真
7日目:成果発表会、修了書授与式後のグループ写真

<8 日目:帰国>

参加学生10 名全員にとって初めての訪日で、観光ツアーではなくこのような科学技術体験・研究交流で訪日することができ大変有意義であったとの感想が多くありました。最後に、本プログラム実施の機会を与えてくださった科学技術振興機構と、実施にあたり多くのご協力をいただいた関係者の皆様に心からお礼を申し上げます。