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活動報告(公募計画コース) 第263号

寧夏自治区科学技術訪日団が農地の汚染対策を研修

国際善隣協会からの報告

 中国寧夏回族自治区は中国の西北に位置し、気候的には乾燥から半乾燥地域に属する。しかし、幸いなことに広大な乾燥地域に黄河の主流が貫流し、北半分の水を賄っている。中部から少し南に下がったところは降水量が400mm/年、さらに南に下がるとそれが600mm/年となる。中央部から北部にかけて降水量が200mm/年と非常に少ないので黄河からの自然流下による部分とそこから南の中間地域では揚水灌漑による農業である。こうした状況下では窒素肥料や重金属汚染の影響は極めて重い意味を持つ。


羽田空港にて (到着時)

 当協会は寧夏自治区とは2008年以来、JICAの草の根技術協力を通じ、長い協力関係をもっており、今回さくらプランを通じて寧夏の比較的若い世代の教師と交流できたことを大変よろこんでいる。そこの若者が初めて日本を訪れ、日本の研究者と交流できたことは将来大きな糧となることが期待される。

 今回も訪日に先だって、先方の要望を聴取したところ、農地の汚染対策ということとなり、今回の研修においても前回と同様、参加者は10名、寧夏大学、寧夏職業技術学校の教員であるが何れも、専門は土壌汚染防除である。
 ここで注意すべきは寧夏の人々の関心は農地における窒素肥料の過剰投入による汚染であるが,日本の場合は重金属汚染とりわけカドミウム汚染対策が中心となる。この重金属を以外では日本でもかって風評被害として農家を苦しめたダイオキシン汚染があり、今回、訪問した国の研究機関である筑波の農業環境技術研究所ではこれに関する研究の講義を受けた。


つくば環境研究所にて

千葉県農業センターにて

 さらに代替作物としてウリ科の植物の採用また、低吸収性品種採用では接ぎ木における台木と穂木の選択、土中への活性炭の散布による除去などの対策が示された。地方自治体の研究機関としては千葉県農林総合研究センターを訪問し、同センターの「土壌研究室」においては農作物及び土壌中の重金属モニタリング調査」の解説があった。
 大学では東京農工大学を訪問し、「へアリーべーチ後の田植え方法」(ヘアリーべーチはマメ科の植物で大気中の窒素の固定化に使う、緑色肥料)ではこの緑色肥料の使用によって、化学肥料の使用を減らし、窒素汚染の低減につながるという寧夏がわの問題意識にマッチする。

 ついで民間企業の分野では太平洋セメント(株)及び「デンカ」を訪問した。前者は科学的洗浄法による水田のカドミウム汚染除去の実用化技術を開発した。ここはさきに紹介した国の農業環境技術研究所とこの分野で共同研究をしており、当初は両者でカドミウム汚染対策を予定したが重複するため、それを避けるため、前者にはダイオキシン汚染対策にしてもらった。
 「デンカ」は日本有数の肥料メーカであり、ここでは窒素肥料施用による環境汚染対策の講義を受けた。
 このように日本のカドミウム汚染対策は多様であり、そこには単なるカドミム対策のみでなく、一つの汚染対策についてもあらゆる方途を探求する多様性は日本の科学研究の層の厚さを示しており、こうしたところを中国の参加者に理解して貰えば、大いに参考となろう。その一例として挙げられるのは対策の一つとして、低吸収の作物の栽培まで含めたことである。


太平洋セメント中央研究所を訪問

武蔵野市環境センターを見学

 短期間(平成28年1月17日~23日)であったが今回の視察研修は概ね高い評価を受けた。改善点として、指摘されたのは研究施設なり、実験状況の実視を希望されたが、この分野が屋外であるものが多く、1月の気温では屋外の試験は難しく、また研究用機材も視察に供する適当なのがなく、実現しなかったのは残念であったが、止むを得ない面もあった。


北青山TEPIA先端技術館にて

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