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活動報告(公募計画コース) 第212号

モンゴルの感染症研究者と結核対策に関する交流プログラム
千葉大学大学院医学研究院呼吸器内科学からの報告

 このたび、さくらサイエンスプランの支援を受け、モンゴル国保健スポーツ省・国立感染症センター国家結核プロジェクト担当者5名を、2016年1月3日~1月10日の間、日本に招聘しました。

 モンゴルでは結核が未だに大きな保健上の問題だけではなく社会問題となっており、国内の疾病対策の中でも一番大きな比重を占めています。WHO(世界保健機構)や世界エイズ・結核・マラリア対策基金の支援を受け、対策の強化を行っているところですが、今後その対策をさらに強化する必要性が議論されています。

 日本において、結核対策は感染症対策を含む疾病予防の主要課題であったことから、その分野での研究・検査・治療技術の日本の水準は高く、経験も積み重ねられています。

 本交流の主な目的は、日本における結核対策を、モンゴル国で結核対策の中心的な役割を果たしている保健スポーツ省・国立感染症センターの国家結核プロジェクト担当者に学んでもらい、今後の結核対策の指針・政策決定などに活用することにあります。

 幅広く日本国内の結核対策を学ぶという目標のもと、千葉市内に位置する結核対策を担う機関からの協力を頂き、本学を中心としてプログラムの活動を進めました。

 来日初日は日本到着が夜間でもあり、翌4日より活動をスタートしました。本学キャンパスツアーを行った後、モンゴル国内における結核対策の現状について参加者からの説明を受け、それをもとに、今回の滞在中で学ぶことを整理しました。午後には、千葉大学医学部附属病院国際医療センターの訪問および病院内の患者管理システム(電子カルテなど)の見学および説明を受けました。

千葉大学病院内の見学
千葉大学病院内の見学

 夕方には、本プログラム担当者と親睦を図ることを目的としたウェルカムパーティを開催しました。初めての日本の居酒屋で多くの日本食を味わい、大変好評でした。

 5日には、午前中は日本の結核患者登録制度の説明を受け、午後から日本科学未来館を見学しました。最新の科学技術は参加者にとって驚きであり、予定時間を超えての滞在となりました。

 6日は、千葉市保健所を訪問しました。同保健所では、日本の結核対策における保健所の役割について説明を受けるとともに、午後には結核審査会に出席し、個々の結核症例の管理方法について見学しました。

 電子化された結核症例報告システムや結核接触者検診については、モンゴル国で今後の導入を検討しているものであり、活発な質疑応答を含め、全員熱心に学んでいました。また、結核審査会では多くの専門家が集い、一例毎に治療方針の決定を行っていく様子を間近に見学できたことは、貴重な経験となりました。

 7日は、千葉県内で検診を幅広く行っている、ちば県民保健予防財団を訪問しました。午前中は実際の検診の様子を見学し、午後には同財団でデータの管理方法を含め、どのように結果報告につなげていくかについて、レントゲンの読影方法をはじめとして各ステップを見学させて頂くとともに、検査部では結核感染診断法 IGRA(インターフェロン-γ遊離試験)についても説明を受けました。ハイリスク集団への検診や、IGRAの導入についても今後のモンゴル国結核対策指針に含まれる内容であり、内容の濃い訪問となりました。

 夕方には、千葉大学医学部附属病院感染制御部・感染症内科にて、モンゴル国における結核の現状について参加者からの発表と、日本の結核症例の現状(生活習慣病などの重要性)について猪狩英俊部長からの発表を受け、議論を行いました。その後行われた感染症病棟の見学では、全員興味深く設備を確認していました。

 8日の午前は結核予防会結核研究所への訪問を行い今後の結核対策を話し合い、午後の成果発表会では、活動報告と今後のモンゴル国結核対策への活用方法について参加者より発表され、質疑応答を行いました。続いて行われた修了式では、巽浩一郎教授より修了証が手渡されました。9日には千葉市科学館の見学と、東京観光を行い、両国・浅草・秋葉原を訪れ、全員が着物姿になるなど、日本の文化についても楽しみました。

修了証とともに
修了証とともに
着物姿になりました
着物姿になりました

 濃密な日程でしたが、無事に日程を終えることができ、10日に帰国の途につきました。このプログラムの参加者全員が、多くのことを学べたことに対する喜びを表すとともに、日本の文化についても理解できたことに大変有意義であったとの感想を述べていました。

 快く参加者を受け入れて頂いた千葉市保健所、ちば県民保健予防財団、千葉大学医学部附属病院感染制御部・感染症内科、結核予防会結核研究所のおかげで、充実した内容の交流を行うことができ、深く感謝いたします。

 また最後に、このような貴重な機会を与えていただいた科学技術振興機構にお礼を申し上げます。

活動報告