2015年度 活動レポート 第248号:関西学院大学理工学部

2015年度活動レポート(一般公募コース)第248号

ベトナム国家大学の学生が兵庫県で先端科学技術に触れる
関西学院大学理工学部からの報告

3月6日(日)~12日(土)の1週間、JSTのさくらサイエンスプログラムで、ベトナム国家大学の9名の学生と1名の教員を招へいしました。本学神戸三田キャンパスで物理学科・先進エネルギーナノ工学科の教員による特別講義を受けたあと、それに関連する最先端施設で研究現場を体験しました。

≪3月6日(日)≫
オーバーナイトフライトのためやや疲れ気味で到着。本学でオリエンテーションと大学紹介を受け、早めの就寝で翌日に備えました。

≪3月7日(月)≫
午前中は水木教授から翌日訪問予定の世界一の大型放射光施設SPring-8と、それを利用した研究に関する講義、瀬田教授からは同じく翌日訪問予定の西はりま天文台に関する天文観測の講義を受けました。招聘学生達はどちらの講義でも積極的に質問し、知識を深めていました。

活動の様子1
水木教授による特別講義
活動の様子2
瀬田教授による特別講義.

午後からは本学理工学部の研究室見学ツアーを行いました。本学での研究内容や充実した研究施設、設備の説明を真剣に聞いていました。研究室見学ツアー後には学生交流会を行い、ベトナムの学生3名がベトナムの文化、地理、大学の説明、本学からは理工学研究科国際修士プログラムの学生でドイツ、中国、サウジアラビア出身の学生がそれぞれの国の文化、研究内容を発表しました。

学生同士の発表は大いに盛り上がり、終了予定時間を大幅に過ぎて終了。本学の学生とも交流が深まり、日本での大学院生活をより深く知る事ができたようでした。

活動の様子3 研究室ツアーにて

≪3月8日(火)≫
午前中はSPring-8を訪問。前日の講義を踏まえ、水木教授が現場を案内しました。一般の見学では入ることのできない実験ホールの中に入り、ビームライン、及びそれに付属されている光学機器、測定装置を目の当たりにし、放射光実験を身近に感じたようでした。

活動の様子4 SPring-8の見学

午後からは西はりま天文台に訪問し、日中は望遠鏡の操作の講義を受け、太陽の観察を行いました。夜間の観望会は曇天のため中止になりましたが、天文台の研究員による英語の講義を聞き、星の誕生と終焉について知ることができました。

活動の様子5 西はりま天文台の見学

≪3月9日(水)≫
午前中は世界文化遺産・国宝である姫路城を見学。日本古来の建築方法や防御の拠点としての城の構造、その仕組について説明を受けました。また、その説明の中で、戦国時代において武将やその家族の暮らしぶり、時には政略結婚などで知らぬ家へ嫁入りするなどの話を聞き、時代や場所を超えての話に興味深そうに聞き入っていました。

その後、ベトナムにおいて即席麺シェアNo.1のエースコック(株)関西滝野工場を見学。麺製造からパッキングまで高度に自動化されている一方で、少ないラインで多品種を生産する工夫、自動化の一方で手作業を意図的に導入して効率を上げている等の工夫、安全や衛生の高度な管理方法などを知り、現場のスタッフへの質問がやみませんでした。

≪3月10日(木)≫
午前中は尼崎クリーンセンターを訪問し、日本のゴミ処理技術、リサイクル方法を学びました。ベトナムではゴミの分別をせず回収するそうで、出てくる煙も真っ黒く環境に悪いとの事。日本での有害物質を取り除く技術、熱量を電力に変換する技術、各人がゴミの分別をしている事に深く感銘を受けていました。その後、計算速度が現在4位のスーパーコンピューター「京」を見学。ワンフロアを占めるスーパーコンピューターに感嘆すると共にその構造や、どのような研究に応用できるかを質問していました。

隣接する神戸大学総合研究拠点では京で計算したデータを3D化したものを体験。火山の噴出物の飛び方や地球の中心など、計算結果をよりリアルに体験できました。

活動の様子6 スーパーコンピューター京を見学

≪3月11日(金)≫
午前中は鹿田教授から、世界のエネルギー情勢と省エネルギー化に向けた科学技術の発展について講義を受けました。特に、パワーデバイスの効率化に向けた半導体材料や半導体デバイスの開発動向やスマートグリッド実証において日本の先端技術に触れました。午後から電車で住友電工大阪製作所を訪問し、スマートグリッド実証システムを見学し、多様な再生可能エネルギー源による発電と蓄電、効率的な活用システムを目の当たりにしました。夜は送別会を兼ねた修了式を行いました。別れを惜しむように本学教員と会話をし、将来日本に来て学位を取りたいと意欲を見せる学生が何名もいました。

活動の様子7 住友電工見学

トラブルなく、充実した1週間でした。関西国際空港まで送迎する途中、残りわずかの日本をしっかり見ておきたい、と名残惜しそうに外を見ていたのが印象的でした。招聘学生が日本の最先端科学技術に感心すると同時に、その知識を最大限吸収しようとする彼等に私たちも非常に刺激を受けました。最後になりましたが、このような素晴らしい機会を設けてくださったJSTさくらサイエンスプログラムに深く感謝いたします。

活動の様子8
謝辞を述べる招へい学生
活動の様子9
修了式・送別会にて記念撮影