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活動報告(公募計画コース) 第200号

素粒子の世界がアジアの学生たちの好奇心を刺激
高エネルギー加速器研究機構からの報告

KEK

 平成28年3月1日から10日間の日程で、茨城県つくば市にある高エネルギー加速器研究機構(以下、KEK)に、タイとマレーシアから6名の大学生、大学院生を招待し、素粒子実験をテーマにして、さくらサイエンスプランによるプログラムを開催しました。

 今回のプランでは、招待した学生さんに所属大学では経験できないことをKEKで行ってもらうことを念頭において、プログラムには講義の時間を最小限にとどめ、実験実習やKEK内の大型施設の見学をふんだんに盛り込みました。

 限定した講義として、素粒子実験の基礎、KEKで行っている2つの大型実験、Belle-II実験とニュートリノ実験、それと将来計画である国際線形加速器実験(ILC)を行いました。 学生さんたちはどの講義も熱心に聞き入っていました。また、将来計画には関心が高く、時間を延長して質問を繰り返していました。

 実験実習は2つのテーマで行いました。1つ目は、素粒子実験には欠かせないが単純な構造であるガスワイヤーチェンバーを使ったものです。実際に学生さんにワイヤーチェンバーを自作してもらい、それを使って目には見えない素粒子を電子回路やオシロスコープを利用して観測、測定することによって、素粒子を捕まえたという感覚を味わってもらいました。


自作したガスワイヤーチェンバーを組み上げている様子

 学生さんには初めての体験でしたので、信号が見える度に感動の声を上げていました。この実験実習では、紫外線、X線、電子線、宇宙線と様々な素粒子を自作したワイヤーチェンバーで観測できていましたので、それぞれの粒子が量子力学的に振る舞う不思議な世界を体験し、理解が深まっているようでした。また、体内の骨の様子を調べることができるレントゲン写真の原理も理解できたと思います。

 2つ目の実験実習は、宇宙線(ミューオン)の速度を測定するものです。この実験の測定原理は、距離のわかっている2点間を通過する時間を測定して速度を求めるという単純なものです。しかし、ミューオンはもちろん目には見えず、その速度も光速に近いので簡単には測定できません。実験実習では、シンチレーションカウンターという素粒子実験では一般的な検出器を利用して、ミューオンの通過信号を記録して、そこからさまざま補正等を行って、正しい速度を導き出すこと体験してもらいました。


実験装置(シンチレーションカウンター)を前にして、学生同士で議論している様子

 学生さんは、自分達のなかでわいわいと議論をしながら徐々に正しい答えにたどりつく楽しさを味わっているようでよい経験になったと思われます。

 施設見学では、最初に大型検出器(Belle-II)の建設現場を訪問し、来年以降は見ることができない実物を身近に見ることができ、学生さんは感動していました。試運転が始まったばかりのSuperKEKBの制御室も訪問し、普段は入れないところに入れてもらえたと喜んでいました。


Belle-II測定器の建設現場での記念撮影

 また、放射光施設や東海キャンパスにあるJ-PARCの中性子施設、ハドロン施設、ニュートリノ施設も見学しました。これらのどの施設もタイやマレーシアにはない巨大なものでぞれぞれの施設の迫力に驚いていました。


J-PARC中性子施設での記念撮影

 最終日の午後には、プログラム全体に対する発表を行ってもらいました。どの発表もきちんとスライドにまとめ上げられて、それぞれが特徴を出していて感心しました。発表を聞いて共通して言えることは、全員の学生さんが今回のプログラムを通してこれまでに得たことのない体験をし、十分にプログラムを満喫していたということであり、実施者としては喜ばしいことでありました。


参加学生による発表会の様子

 最後に、今回のプログラムを無事に遂行するために関わってくださった皆様に感謝申し上げます。


日本科学未来館の訪問

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