2015年度 活動レポート 第196号:首都大学東京

2015年度活動レポート(一般公募コース)第196号

フィリピンの学生が日本の水・環境・健康に関する技術にふれる
首都大学東京からの報告

首都大学東京

2015年10月25日~11月3日までの10日間にわたって、JST・さくらサイエンスプログラムの助成により、フィリピン共和国セント・ラサール大学の学生9名と引率教員1名の計10名が来日し、本学を訪問しました。

セント・ラサール大学では、環境工学科、生物学科、看護学科からそれぞれ上位3名の優秀な学生を選抜し、事前オリエンテーションを行い、本学では、都市環境学部都市基盤環境コース、理工学系生命科学コース、健康福祉学部の3部局が協力して交流プログラムを実施しました。

10月26日にはプログラム開会式とウェルカムパーティーを開催し、27日と28日に本学の14の研究室・実験室の見学会を実施しました。大学では主に環境・健康技術の基礎的な内容や各種機器の原理について紹介したところ、実験・研究設備が充実していることに皆さん驚いていました。

開会式
実験室見学
実験室見学(津波すいろ)
生命科学体験講座1
生命科学体験講座2

28日~30日は現場見学会を実施しました。東京都のご協力により小河内ダムと東村山浄水場を、横浜市のご協力により水再生センターと資源循環局鶴見工場を見学し、また、特別養護老人ホームみずべの苑を訪問しました。ここでは最先端の環境・健康技術に触れて頂き、また、現場の職員から実際の取り組みについて幅広くお話を伺いました。

現場見学(小河内貯水池の水質監視システム)

週末の10月31日と11月1日には富士山に出かけ、淡水魚水族館、富士五湖、浅間神社を訪問しました。特に浅間神社では、七五三のために和服姿で参拝している親子連れが数組いらっしゃって、ハイテクと伝統文化が共存している我が国の様子に感銘を覚えたようです。

富士山
いろり端で昼食

最終日の2日には、これらの体験をプレゼンテーションし将来のビジョンを語ってもらいました。そして、首都大学東京・上野学長からプログラム修了証が参加者に授与されました。さらに、セント・ラサール大学は12月7日に帰国報告会を開催し、参加者は約200名の学生に対して、日本での各種体験とさくらサイエンスプログラムのすばらしさを紹介しました。

成果発表
修了式

本プログラムを通じて、セント・ラサール大学の学生の日本に対する印象は、

(1)日本の科学技術は優れている
(2)大学の教育研究システムが優れている
(3)大学の研究が実際に現場の役に立っている
(4)日本では5分前ルールで物事が動く
(5)食事がバラエティーに富んでいてヘルシー
(6)女の子の「Kawaii」文化や和服・浴衣・温泉などの伝統文化が最先端科学技術と同居していてクールである
 

…といったものでした.特に、先端科学技術と伝統・文化の融合という点が、彼らにとって最大の驚きだったようです。そして2名の学生が、将来、日本の大学の修士・博士課程に進学したいと言ってくれました。

セント・ラサール大学の学生は、本学の学生や訪問先で交流した他大学の学生にも良い影響をおよぼしました。ラサール大生の何事にも積極的でフレンドリーな姿勢に日本人学生は大変刺激を受け、相互が学び合う良い機会になりました。本プログラムを助成してくださったJSTに感謝すると共に、今後も、首都大学東京とセント・ラサール大学の交流事業をよりいっそう進めてゆきたいと考えています。

学生からのお礼のメール

先生、私はフィリピンに帰国してからというもの、感謝の気持ちでいっぱいです。首都大学東京での10日間の経験は、私たちの中で秋の紅葉のように美しく見事に輝いています。秋という季節は少し寒かったですが、あなた方の暖かな心遣いにより日本での滞在は完璧なものでした。
先生、今回の学生交流は私の心の中で永遠に生き続けるでしょう。私は日本の科学技術だけではなく、文化にも大変感銘を受けました。もっと日本に居たいと思いました。
でも私は帰国し、このプログラムから託された想いを皆に伝えなければなりません。それは人々と環境の両方に配慮した社会を築くという想いです。物事のつながりを大切にする社会を実現する必要があります。
先生、私はこのプログラムに参加するまで、自分の将来のことがあまり明確ではありませんでしたが、今回、非常にはっきりしました。私は首都大学東京の大学院に進学したいと考えるようになりました。私は奨学金に応募してベストを尽くします。どうもありがとうございました。