2015年度 活動レポート 第145号:福井大学

2015年度活動レポート(一般公募コース)第145号

モンゴルの原子力人材育成のための交流プログラム
福井大学からの報告

福井大学

福井大学附属国際原子力工学研究所とモンゴル科学技術大学の交流事業として、9名の参加者に対して、2015年11月23日から11月27日まで5日間の招聘プログラムを実施しました。

モンゴル科学技術大学とは、本プログラムの実施に先立ち、カリキュラムや人材育成等での交流を模索していた所でしたので、若い学部学生や大学院生、若手教員、附属高校の生徒にも福井大学に来て貰い、特別講義や研究所施設・設備の見学、あるいは周辺施設等の見学の機会を提供することは、今後の彼らの来日・留学へのモチベーションを高める効果があると考え、このプログラムを活用させて頂きました。

本プログラムは原子力人材育成を主目的とし、学生との交流や地域の企業見学を含む内容です。具体的には下記の日程で実施しました。

1日目:来日、国内移動
2日目:開講式、ガイダンス、特別講義、研究所内施設見学、放射線測定体験実習
3日目:福井県原子力環境監視センターおよび関西電力美浜発電所見学、博物館見学
4日目:福井県立敦賀高等学校の生徒さん達との交流、発表会、閉校式
5日目:国内移動、離日
 

2日目は、安濃田所長による歓迎の挨拶、一行の代表者からの挨拶、泉教授によるガイダンスの後、有田副所長から「世界のエネルギー情勢と原子力の現状」と題した特別講義を実施しました。

開講式での安濃田所長からの歓迎挨拶
開講式でのモンゴル科学技術大学側代表Erkhembayar教授からの挨拶
有田副所長特別講義「世界のエネルギー情勢と原子力の現状」

その後は研究所の主要な実験装置等を見学し、いくつかの質問で日本の大学の施設の整備状況や研究・教育環境を分かって貰えたと思います。午後は、NaIシンチレーション検出器を用いていくつかの食品中の天然に存在する放射性同位元素である40Kの濃度測定を体験しました。

環境放射能測定実習の様子
福井県原子力環境監視センター見学
福井県原子力環境監視センターにて、可搬型モニタリングポスト説明

試料のセッティングやパラメータ入力等を順番に体験して貰うとともに、得られた測定値から濃度へと変換する計算をしたり、食品の種類によってカリウム濃度が何故違うのかを議論したり、また、測定時間を変える事によって測定誤差が変動していくことを実感して貰いました。

3日目は、敦賀市内にある福井県原子力環境監視センターを訪問し、福井県での環境放射能モニタリングの仕組み・体制、設備などの概要説明を受けました。また、同センターのデータセンターでは実際に端末を見せて頂き、参加者はリアルタイムで得られる空間放射線量率のデータや気象データに見入っていました。

さらには、関西電力美浜原子力発電所を見学し、福島第一原子力発電所の事故後の安全性強化対策の実施状況等の説明を受けるとともに、恐らくは彼らにとって人生初の、商用原子力発電所の実物を見る機会を得ました。

美浜原子力PRセンターにて

日本の科学技術にも関わる上記2施設の見学のほか、日本、特に敦賀市や嶺南地区の文化や歴史を学ぶために、人道の港ムゼウムや若狭三方縄文博物館の見学もしました。モンゴルは国境を大陸で囲まれていて海が無いために、道中のバス移動では、人生初の海を見たことで、一同大はしゃぎをしていました。

同日夕刻には、研究所内にて交流のための懇親会を開催し、モンゴルの伝統的な民族衣装でモンゴルの歌謡や舞踊を楽しませていただき、良い文化交流にもなりました。

交流会での様子

4日目の午前中は、福井県立敦賀高校を訪問し、高校の英語授業の一環として、双方の文化交流を行いました。お互いに慣れない英語でのコミュニケーションではありましたが、同じアジアの国として共通点が多いことに気づき、後半は会話が盛り上がっていました。午後は研究所に戻り、国内移動を除けば実質3日間の本プログラムを振り返り、招聘した参加者から感想や印象、今後の抱負などを語って貰いました。

福井県立敦賀高等学校での交流会の様子

この発表会には、研究所所属の教職員、日本人学生だけではなく、数か月程度の予定で滞在中の外国人研究者10名も参加し、エネルギー事情の違いや原子力導入に対する考え方など、それぞれの国ごとに事情も違う中で、色々な意見交換ができ、とても有意義なものとなりました。最後に、本プログラムの修了証を授与し、プログラムを締めくくりました。

最終日での発表会にて