2015年度 活動レポート 第133号:理化学研究所

2015年度活動レポート(一般公募コース)第133号

実験用マウスの国際標準化にむけて
~韓国生命工学研究院の研修生が日本マウスクリニックで研修
理化学研究所からの報告

理化学研究所

さくらサイエンスプログラムの援助を受けて平成27年9月28日から10月7日まで国立研究開発法人 理化学研究所バイオリソースセンターマウス表現型解析開発チームに韓国生命工学研究院より研修生1名(Eun Kyoung Kimさん)を受け入れました。

研修内容はマウス表現型解析の国際標準化に関するものでした。周知の通り、マウスはヒト疾患モデル動物として世界的に多く使われており、それを用いたライフサンエンス研究が日々進歩しています。

マウスの表現型解析の標準化については、国際的な組織であるIMPC(International Mouse Phenotyping Consortium)が発足し、世界18機関のマウス解析施設が協力して、国際標準的なマウス解析法SOP(standard operating procedure)を確立し、国際連携が進んでいます。

日本においては理化学研究所バイオリソースセンターがいち早くIMPCに参画し取り組んでいるが、韓国においても韓国生命工学研究院がKMPC(Korea Mouse Phenotyping Consortium)のメンバーとしてマウスの国際標準解析法を取り入れ、解析を習得するところでした。

Kimさんは実際にマウスを扱っている技術スタッフで、本研修ではKimさんがマウスの取り扱いの基礎から、検査用マウスの生産、遺伝子検査、そしてマウスの形態、採血と血液分析法、視覚聴覚の経理学的手法、行動解析、剖検病理、そしてそれらのデータ解析とIT技術を取り入れたデータ管理法等、多岐にわたって実際に当方の技術スタッフから指導を受けながら、実地的な技術の細かいところまで習得することができたと思う。

マウス飼育室にて
マウスクリニックミーティングでスタッフに自己紹介

研究スタッフから指導を受ける
マウスの形態行動検査の指導をうける

マウスの行動検査の結果をコンピューターで解析
研修修了式(センター長との写真)

そして我々の現場のメンバーと人的交流を深め、今後の協力関係を築いていくことが期待されます。とかく公的な海外研究者の招聘は、教授等のPIレベルでの交流になることが多く、さくらサイエンスプログラムの援助のように実際に実験に関わる技術スタッフを招くことができ、研修者本人はもとより、受け入れ機関としても実際の交流ができ、大変有意義で、大変感謝しています。今後、研究発展のめざましいアジア諸国と、実際に研究現場の若手交流をおこなうことにより、アジアにおけるライフサイエンス研究基盤の発展に役立つことが可能になっていくと思います。