2015年度 活動レポート 第97号:福岡工業大学

2015年度活動レポート(一般公募コース)第97号

中国人大学生が日本のものづくりに学んだ1週間
福岡工業大学 西尾陽子さんからの報告

福岡工業大学

福岡工業大学では9月28日~10月4日の1週間、さくらサイエンスプログラムの支援を受け、協定校である中国南京理工大学大学院から10名の学生と1名の教員を招聘し短期研修を行いました。南京理工大学と本学は15年以上の交流実績があり、これまでダブルディグリー学生の受入れ、短期研修生の相互派遣、合同セミナーの開催等、多様な活動を通じ強い信頼関係を築いてきました。

今回の短期研修では、本学で実施されている最先端の研究プロジェクトと産学連携施設の見学、大学院授業や研究室ゼミ参加等活動を通して、本学の若手教員や大学院生と科学技術分野での交流を深めることを目的とし、文化体験も織り交ぜつつ充実したプログラムを実施しました。

初日の歓迎交流会では、本学に長期留学をしている同じ南京理工大学大学院生の先輩や日本人学生と日本での生活について話を聞いたり、今回の短期研修で学びたいことについて各自発表しました。また本プログラムの実施主担当者である電子情報工学科の倪宝栄教授より、「自分の目でしっかりと日本を見てほしい」というアドバイスがあり、学生のモチベーションがさらに上がったことが感じられました。

2日目からは本格的にプログラムを開始し、本学の研究室をはじめ先端計測技術研究センターでの最新プロジェクト見学、総合研究機構では産学官連携の取り組みや地域貢献への意義を学びました。また、田中卓史名誉教授の小型衛星FIT-SATの開発から打ち上げ及び実験成果について聴講しました。学生たちは、本学の充実した研究実験環境に感銘を受け、各教授からは、研究内容以外にもこれまでの背景、研究に掛ける思い、更に留学体験などのお話を聞くことができ、今後、自分の研究活動を行うにあたり良い刺激を受けたようでした。

本学エレクトロニクス研究所で最先端実験設備を見学
研究室訪問。自動車運転時における危険性評価研究ラボで実際にドライビングシミュレータも体験しました。

研究室訪問 力学特性研究ラボ
田中名誉教授による小型衛星講義

研究室活動、大学院講義聴講などの他に、初級日本語、日本のマナー、華道体験など日本文化について理解を深めるプログラムにも積極的に取組みました。授業以外にもキャンパス内のゴミの分別や教室などの施設が清潔に保たれていること、街を走る車がピカピカに磨かれていることなど、日本の秩序や環境に対する意識について驚く場面が多くありました。

華道で日本文化体験

日産自動車九州の見学がメインとなる北九州視察では、最初に東田第一高炉史跡広場にて、その後の日本のものづくりの原点ともいえる施設を見学し、明治からの日本産業発展の勢いを感じました。日産自動車九州工場では、自動車生産ラインのスムーズさ、ロボットと人間の分業の様子、車種別ではなく受注順の生産、作業者にも優しい手作業ラインなど、数々の気づきがありました。今回招聘した10名の学生の専攻は、機械電子工学、管理科学、オートメーションなど多岐に亘っており各学生が感じたことも様々であるため、各々の気づきを共有しながらの見学となりました。

東田第一高炉史跡広場にて。
明治からの日本産業の発展を肌で感じました。
日産自動車九州工場見学。様々な学びがありました。

帰国前日には報告会を行い、研究室訪問活動でお世話になった先生やプログラムを通じてサポートしてくれた先輩留学生および日本人学生、職員の前で、今回の短期研修で学んだことと将来の夢について1人ずつ発表しました。ある学生の「日本の製品はすべてのユーザーのことを考慮して開発されている。自分たち研究者も使い手のことを考えて研究を続ければ、それが国の発展に繋がるということに気づいた」という言葉が印象的でした。

日本人学生との交流
太宰府天満宮でジャンプ!最終日の楽しい思い出となりました。

プログラム期間中サポートしてくれた本学の日本人学生にとっても、中国人学生との意識や着眼点の相違を感じ、また同年代、同じアジア人として似た部分の発見も含めて視野が広がる素晴らしい交流体験となりました。

1週間という短い期間ではありましたが、彼らにとってかけがえのない時間となったことは間違いありません。今後も引き続き、前途ある若者が先入観にとらわれることなく交流でき、両国の友好とアジアの発展に寄与できる人材を輩出するプログラムを実施していきたいと思っています。

さくらサイエンスプログラムの修了証を頂いて記念撮影